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超カルトモキュメンタリーのノベライズ。補完として悪くないがラストは未視聴者置いてけぼり-『ノロイ 小林雅文の取材ノート』

『ノロイ 小林雅文の取材ノート』

林巧/2005年/211ページ

怪奇現象研究家の小林雅文が失踪した。彼はある村に伝わる、相手を呪い殺す儀式を追っていた。その呪いは現代にも息づいているという。本書は残された彼の取材ノートを元に書き起こした真実の恐怖の物語である。

(Amazon解説文より)

 

 怪奇実話作家の小林雅文氏が、失踪直前に残した取材ノートの内容を書き起こしたドキュメンタリー。口絵部分には小林氏の手掛けたビデオ作品や、氏のプロフィール・顔写真が掲載されている。…上記の内容は当然ながらフィクション、つまりフェイクドキュメンタリー・モキュメンタリーであり、白石晃士の映画『ノロイ』のノベライズなのだが、本書にはそのことが一切明記されていない。なかなか気合の入ったフェイクっぷり。

 オリジナルであるプロローグ部分を除けば、話はほぼ原作と同じ展開を見せるので、映画の補完としては悪くない出来。ただ、小林雅彦氏自身が怪異に取り込まれる終盤の展開についてはほとんど触れられておらず(取材ノートなど書いている場合じゃないから仕方ないのだが)、原作視聴勢でもはっきりわからなかった「禍具魂」と少年の関わりなど、いちばん肝心な部分についてはけっきょく不明なままだったりする。個人的には、順番はどちらが先でもいいので原作映画のほうも必ず観てほしいと思う。「渦巻」模様の不気味さや堀光男のエキセントリックさなどは、やはり映像のインパクトが強い。ブレイク前の松本まりか(本人役)が超重要ポジションで出演しているのも面白い。

★★★(3.0)

 

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