角川ホラー文庫全部読む

全部読めるといいですね。おすすめ作品等はリストから

ホラー漫画史を語るには外せない、巨匠ぞろいのアンソロジー。「聖なる恐怖」って何?-『HOLY』

『HOLY ホラーコミック傑作選 第1集』 手塚治虫、美内すずえ、諸星大二郎、日野日出志、丸尾末広、内田春菊、花輪和一、永井豪、萩尾望都/1993年/377ページ 日本を代表する九人の巨匠たちが紡ぎ出す、「聖なる恐怖」。名作中の名作を厳選した待望のコミッ…

日本ホラー界の歴史を塗り替え、いまだ増殖し続けるシリーズの原点。すべては貞子の遺志のままに-『リング』

『リング』 鈴木光司/1993年/331ページ 同日の同時刻に苦悶と驚愕の表情を残して死亡した四人の少年少女。雑誌記者の浅川は姪の死に不審を抱き調査を始めた。―そしていま、浅川は一本のビデオテープを手にしている。少年たちは、これを見た一週間後に死亡…

ストレートな怖さでブン殴ってくるパワー型実話怪談。連作も単発も抜かりなしのクオリティ-『拝み屋怪談 怪談始末』

『拝み屋怪談 怪談始末』 郷内心瞳/2018年/288ページ ―「拝んで」始末した怪異を、怪談として「仕立てる」。戸の隙間からこちらを覗く痩せこけた女。怪しげな霊能者に傾倒した家族の末路。著者につきまとう謎の少女。毎年お盆に名前を呼ぶ声…。東北は宮城…

不倫・売春・詐欺・狂言…。業と欲望にまみれた現代版今昔物語!-『忌まわ昔』

『忌まわ昔』 岩井志麻子/2019年/224ページ 炎に飛び込み自らを焼いた兎。盗みに失敗して父を殺した子。図らずも3人を切り殺してしまった男。「今は昔」で始まり、「となむ語り伝へたるとや」で終わる「今昔物語集」。この日本最大の説話集を下敷きに、人…

シャープな心理描写、ラスト1ページの残酷かつキレのいい結末。さすがの筆力に唸る-『潜在光景』

『潜在光景 恐怖短編集』 松本清張/1994年/270ページ 二十年ぶりに再会した泰子に溺れていく私は、同時に彼女の息子の不信な目に怯えていた…。表題作他、ささやかな欲望から始まる、世にも怖しい七つの物語。清張文学の絶品集。 (Amazon解説文より) 推理長…

青春、河童、人体実験、「妖蛆の秘密」をごった煮に。タイトル詐欺なコズミックホラー-『幽霊屋敷』

『幽霊屋敷』 友成純一/1995年/297ページ 現代においてなお、河童の目撃例が後をたたない熊本・国見村。東京から越してきた正樹は、初めて暮らす大自然を探索中、村外れに巨大な洋館を発見した。不気味な佇まいに興味を覚えた正樹は、村人に由来を尋ねるが…

2ページ完結の実話怪談短編。1つ1つの話は面白いものの、若干マンネリを感じるのも確か-『現代百物語 悪夢』

『現代百物語 悪夢』 岩井志麻子/2012年/209ページ 奇妙な赤ちゃんの夢を見る女。モデルの女性が怯える、忌まわしい村のしきたり。留置場にただ一人いた親切な男の意外な過去。叔母を憎み、互いも憎みあう偽姉妹。もう一人の自分に電話を掛ける男。取り憑…

ちょっといい話多めで、ホラーとしてはヌルい短編集。少女の幽霊出すぎでは?-『告別』

『告別』 赤川次郎/1995年/352ページ 深夜の山道で偶然見つけた奇妙な電話ボックス。そこから古い友人にかけた電話が、過去へと続く不思議な扉を開けてくれた。もしも、昔の自分に戻ってもう一度人生をやりなおすことができるとしたら。かつて別れたはずの…

ラブストーリーとえげつないホラーを完璧に両立した好シリーズ-『ホーンテッド・キャンパス』

『ホーンテッド・キャンパス』 櫛木理宇/2012年/288ページ 八神森司は、幽霊なんて見たくもないのに、「視えてしまう」体質の大学生。片思いの美少女こよみのために、いやいやながらオカルト研究会に入ることに。ある日、オカ研に悩める男が現れた。その悩…

東京・新潟・沖縄を股にかけての呪術会戦。呪いが残すのは「証言者」のみ-『なまなりさん』

『なまなりさん』 中山市朗/2022年/196ページ 沖縄で退魔師の修行を積んだというプロデューサーの伊東礼二。彼の仕事仲間の健治が、今日子という女性と婚約をした。しかし今日子は、妖艶な双子姉妹による執拗ないじめにより死に追いやられる。今日子の死後…

家族が「得体の知れない他人」に変わる刹那を描く、ホラー+サスペンス短編集-『魔少年』

『魔少年』 森村誠一/1996年/368ページ 何一つ不自由のない家庭に育った子供が起こした「いたずら」。そこには恐ろしい意味が隠されていた―。ホラー短編の最高傑作『魔少年』をはじめ、“顔のない男”に日夜悩まされる『空白の凶相』。女の執念の憎悪を描く…

魔女、錬金術、秘密結社、呪術。ホラー&オカルトの基礎教養が満載の必携書-『黒魔術白魔術』

『黒魔術白魔術』 桐生操/1995年/259ページ 大災害や大事件がひんぱんに発生する世紀末のいま、世界は明らかに大変動をきたしているといえよう。その暗黒世界に対応するには、世界史上“裏の学問”として迫害され続けてきたオカルトの世界を、正しく理解する…

掲載誌がやや変わり種の未収録作品12編。読み応えある解説が13編目?-『13の幻視鏡』

『13の幻視鏡』 吉村達也/2013年/211ページ 純子が体験した“血の凍るような恐怖”。それが起こったのは、深夜のタクシー乗り場だった。残業後、ひとりタクシーを待っていると背後から…(「HEY!TAXI!」)、ヨセミテ国立公園の断崖から身を投げようと決意した城…

キャラの強さに頼らない、容赦ない展開とテンポ良さが光る。主役を食う名コンビも-『異形探偵メイとリズ 燃える影』

『異形探偵メイとリズ 燃える影』 荒川悠衛門/2022年/304ページ 漫画家を目指す高校生の秋人(しゅうと)はある晩突然、不気味な「何か」に襲われる。直後、唯一の理解者の兄が行方不明に。兄を捜すべく訪れた奇妙な探偵事務所で秋人は、奇怪な存在「異形…