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ラブストーリーとえげつないホラーを完璧に両立した好シリーズ-『ホーンテッド・キャンパス』

『ホーンテッド・キャンパス』

櫛木理宇/2012年/288ページ

八神森司は、幽霊なんて見たくもないのに、「視えてしまう」体質の大学生。片思いの美少女こよみのために、いやいやながらオカルト研究会に入ることに。ある日、オカ研に悩める男が現れた。その悩みとは、「部屋の壁に浮き出た女の顔の染みが、引っ越しても追ってくる」というもので…。次々もたらされる怪奇現象のお悩みに、個性的なオカ研メンバーが大活躍。第19回日本ホラー小説大賞・読者賞受賞の青春オカルトミステリ。

(「BOOK」データベースより)

 

 主人公は霊感体質の大学生男子。片思いしている後輩がいるオカルト研究会に入るものの、霊関連のお悩み相談を持ち込んでくる学生が絶えないのだった。主人公らがどんなに霊現象に出くわしても違和感のない便利な設定である。アパートの壁に浮かぶ人面。繰り返し夢に現れる知らない女。ポルターガイストが出る格安物件。人混みで幾度となく出会うドッペルゲンガー。自殺した少女の霊を呼ぶ降霊会…。

 キャラクターの個性も基本設定も、いくらでも「盛れる」ところをギリギリに抑えている印象。この辺のさじ加減を間違えるとただのコメディになってしまうが、本作はラブストーリーであると同時に、人の業を描くえげつないホラーとしての側面もしっかり持ち合わせている。角川ホラー文庫のキャラクターノベルとしてはパーフェクトに近いのではなかろうか。

★★★☆(3.5)

 

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