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魔女関係なさすぎるよ! どうなってんの!?-『魔女調伏師は闇に笑う 禁忌の魔術』

『魔女調伏師は闇に笑う 禁忌の魔術』

篠原美季/2016年/272ページ

金髪碧眼の美青年・理人は、現代にも存在する「魔女」の悪事を取り締まる魔女調伏師だ。行方不明の前任者の足取りをつかんだ理人は、旧友で臨床心理士の玲李を誘い、長崎の離れ島へ調査に向かう。そこで2人は隠れキリシタンの地下聖堂と神隠し伝説の噂を聞く。それと相前後して、都内では身体の一部が切り取られ、額に∞のような記号を刻まれた死体が連続して見つかった。猟奇的な事件の裏には新たな魔女の存在が…!?俺様な魔女の専門家×心優しい臨床心理士。最強美形男子コンビによるオカルティック・ミステリ!

(「BOOK」データベースより)

 

 「∞」のようなマークを入れられ、身体の一部が切り取られた惨殺死体が発見される。警視庁の轟刑事は臨床心理士の玲李(レイ)にプロファイリングを依頼するが、現段階では「サイコパスの快楽殺人では?」程度の推測しかできなかった。一方、ドイツから再び来日した魔女調伏師の理人(リヒト)は、姿を消した前任者、シュトルツの捜索を本格的に開始する。偶然手に入れたシュトルツの手帳の記述をもとに、レイを誘って長崎の古支架島へと渡ったリヒト。その頃、東京では∞マークが入れられた死体がまたしても発見された。これらの事件を結び付ける真実、そして新たな魔女の正体とは…?

 

 前作に比べるとだいぶ読みやすい気はするのだが、その一方で癖が薄まってしまい、ごく普通のオカルトミステリになってしまった。主人公たちが直接関係しないところで勝手に事件が起きて勝手に解決しており、全体的に物足りない印象が強い。「オレは天才だ! イ~ヒッヒッヒッヒ!!」みたいなサイコパス黒幕もまったく魅力がないままぼんやりと退場してしまう。リヒトが魔女調伏するまでもなく、ほとんど自滅したようなモンである。魔女ウンチクも少ないし魔女自体も存在感がないし、ホラーとしてもキャラノベルとしてもイマイチ。うーん。

★★(2.0)

 

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