角川ホラー文庫全部読む

ホラー小説のレビューブログ。全部読めるといいですね

2025-03-01から1ヶ月間の記事一覧

多すぎる登場人物を持て余したあげく、脱力もののオチを迎える崩壊作-『崩れる』

『崩れる』 赤川次郎/2001年/221ページ 丘の上に建つ五軒の家。孤立した住宅地で、ある朝出勤途中の住民たちが発見したのは、路上に倒れた全裸の女性だった! 記憶喪失の女性を招き入れたその日から、ありふれた暮らしに異変が起こり始める。妻の失踪、教…

傑作選の名に恥じないラインナップ。ドライでリリカルな二大(?)作家の競演-『Wi-Fi幽霊』

『Wi-Fi幽霊 乙一・山白朝子ホラー傑作選』 乙一、山白朝子(著) 千街晶之(編) /2025年/448ページ 「夏と花火と私の死体」で驚嘆すべき才能としてデビューした乙一。山白朝子は怪談専門誌デビューの怪談作家。2人の作品に共通するのは「戦慄と郷愁」だ。父…

UFO、最強霊能者、蟲毒の儀式…。異形の進化を遂げた怪談エンタメ、ついに終着点へ-『真景拝み屋怪談 蟲毒の手弱女〈天〉』

『真景拝み屋怪談 蟲毒の手弱女〈天〉』 郷内心瞳/2025年/480ページ 拝み屋・郷内が相談客の裕木から受け取った取材記録「念珠怪談」。200話に及ぶ怪異譚に姿を見せ続けた稀代の霊能師・霜石湖姫は、裕木を不穏極まる儀式に協力させようとしていた。裕…

あかずめは人を閉じ込めて殺す。気づいた時にはもう遅い、悪意に満ちた呪いの正体は…-『あかずめの匣』

『あかずめの匣』 滝川さり/2025年/336ページ この呪い、回避不可能。あなた自身が「条件」を解き明かす、新感覚ホラー! その怪異は人を閉じ込めて殺す。すべての真実をあなたは解き明かせるか。 冠村には“窒息の家”と呼ばれる廃墟があり、「あかずめ」と…

特典コミックも収録したボーナストラック。必読のエピローグも収録した真の完結巻-『妖琦庵夜話 千の波 万の波』

『妖琦庵夜話 千の波 万の波』 榎田ユウリ/2023年/224ページ 東京下町にひっそり立つ妖琦庵。そこは妖人茶道家・洗足伊織の茶室だ。“管狐”の夷、“小豆とぎ”のマメとともに、穏やかな日々を過ごす伊織のもとへ、久しぶりに刑事の脇坂がやってきた。元水泳選…

もうひとりの自分が導く、奇妙な世界への扉…。もうひとりの自分が導く、奇妙な世界への扉…。-『ドッペルゲンガー奇譚集』

『ドッペルゲンガー奇譚集 ―死を招く影―』 角川書店(編)/1998年/298ページ もう一人の自分に出会ったものは、近いうちに必ず命を落とすー。洋の東西を問わず、「自分の分身」にまつわる物語は世界各地で語り継がれている。現代日本を舞台にしたドッペルゲ…

すべての過去と確執に決着をつける最終エピソード。瞳が最後に映したものは-『妖琦庵夜話 ラスト・シーン』

『妖琦庵夜話 ラスト・シーン』 榎田ユウリ/2021年/288ページ 「ゲームをしよう。兄は守る。弟は奪う」父親である<鵺>に残酷なゲームを強いられる伊織。勝利条件は、弟で<鬼>の青目から、小鳩ひろむを守り抜くことだ。だが、刑事の脇坂は意識不明のま…

話自体は面白いが、やっぱあのクリーチャーたちは映像で見たいよね-『サイレントヒル』

『サイレントヒル』 ポーラ・エッジウッド(著)、牧野修(編訳)/2006年/267ページ 白い灰に包まれたゴーストタウン、サイレントヒル。娘シャロンを原因不明の夢遊症から救うためにこの町を訪れたローズは、見るもおぞましい儀式の犠牲者に遭遇する。迫りくる…

実質、クライマックス前後編の前編。この勢いのまま最終決戦へ!-『妖琦庵夜話 顔のない鵺』

『妖琦庵夜話 顔のない鵺』 榎田ユウリ/2020年/256ページ 「御指を、いただきたく存じます」洗足伊織のもとに現れた老婦人は、妖人“鬼指”と名乗る。刃を手に、指をくれと迫りながらも、彼女はひどく怯えていた。他にも“シシン”、“天邪鬼”と、存在しないは…

悪霊ゲットで商売する霊能カップルを“現実のしがらみ”という恐怖が襲う!-『ウラミズ』

『ウラミズ』 佐島佑/2013年/306ページ 怪しい健康食品会社に勤める真城は霊が視えてしまう特殊体質。気味の悪い霊の出現と毎日の仕事にウンザリしていた。そんなある日に出会った早音は、なんと霊を水入りのペットボトルに封じる不思議な力を持っていた。…

沖縄バカンス特別編かと思いきや、シリーズ随一の凶悪事件が発生!-『妖琦庵夜話 誰が麒麟を鳴かせるか』

『妖琦庵夜話 誰が麒麟を鳴かせるか』 榎田ユウリ/2019年/352ページ ヒトと僅かに異なる存在、妖人。SNSで妖人差別発言を繰り返していた男が殺された。遺体には、刃物で刻まれた謎のメッセージ。刑事の脇坂は、被害者と関わりのあった妖人団体を訪ね、…

幽霊屋敷モノ+呪われし土地モノを見事にドッキング。令和ホラーのスタンダード的作品-『おどろしの森』

『おどろしの森』 滝川さり/2020年/320ページ 4人家族の大黒柱である尼子拓真は、新築一軒家を購入し幸せの絶頂だった。だが家にお香のような甘い匂いや女の笑い声がし出し、派手な着物姿まで目にする。拓真は恐怖するが、妻と高校生の娘は何も感じないら…

悪人を眠らせ始末する連続殺人。遺体に詰められた小豆は何を語る?-『妖琦庵夜話 花闇の来訪者』

『妖琦庵夜話 花闇の来訪者』 榎田ユウリ/2017年/352ページ ヒトと僅かに異なる存在、妖人。美貌と毒舌の妖人茶道家・洗足伊織は、「家族」との平穏をなにより愛していた。最近は“小豆とぎ”のマメが、食堂でボランティアを始め、心身ともに成長中だ。そん…