『アンデッド 拷問教室』
福澤徹三/2011年/199ページ
皮を剥ぎ、肉を削り、骨を砕く。独自の倫理観で悪人たちに残虐な拷問を加える連続殺人鬼、玄田道生。そして霊能力を持った女子高生、神山美咲。ふたりの魂が交錯するとき、恐るべき惨劇の幕があがる―。怪しい新任教師の目的は?謎の霊能者、樹坂麿宮の正体は?絶対絶命の窮地に陥った同級生たちを、美咲は救出できるのか!すべての謎が解き明かされる、ジェットコースター・ホラー、最恐のシリーズ完結編。
(「BOOK」データベースより)
3年生になった美咲たちは、新たに文芸部の顧問となった国語教師・西黒正に連れられて、伊美山にある彼の別荘で合宿することに。だが同行していた里奈と隼人の姿がいつの間にか消えてしまう。その頃、何者かによって虫が大嫌いな里奈は蟲責めに、閉所恐怖症の隼人は金属製の箱の中に閉じ込められていた。そして、仲間を失うことを最も恐れる美咲への‟拷問”が開始される…。
最終巻だからもう何してもいいよネといった感じで展開される、容赦ない阿鼻叫喚の地獄絵図。『ソウ -SAW-』ばりに凝った内容の拷問ゲームも絶好調、あまりにも救いのない展開の果てに待つのはヤケクソにも近い究極の解決法。ラストはもう少し余韻を持たせてほしかった気もするが、シリーズ中ではもっともホラーらしいホラーと言える快作である。
3作品それぞれが異なるテイストを持っており、なかなか野心的なシリーズだったと思う。1作目で影が薄かった美咲もしっかり主人公として成長したし、「文芸部の活動がパッとしない」という妙なリアルさ、頻出する拷問・ホラー関連ウンチクの数々、怪作スレスレのアクロバティックさ等も印象に残る。
★★★★(4.0)