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よくある悪霊モノかと思いきや、正体不明の大いなる禁忌が黒幕。面白いのはそこだけ-『オトシモノ』

『オトシモノ』

福澤徹三/2006年/198ページ

駅でオトシモノの定期券を拾った人々が、次々と行方不明になる事件が発生した。戻ってきた彼らは、見るも恐ろしい異形の姿になっているという。大人たちが固く口を閉ざす中、ヤエコという名の女性の霊が関係していることを突き止めた女子高生奈々は、姿を消した妹を救うため呪いを解こうと奔走するが…。極限の恐怖を前にした愛と友情の行方を描く感動のホラー。

(「BOOK」データベースより)

 

 悪霊が落とした定期券を拾うとどこかに連れ去られてバケモノになって返って来る! という話。なぜバケモノになるのか? とかなぜオトシモノを拾ったら呪われるのか? とか、過去の列車事故を独自調査していた駅員は何を知っていたのか? とかいった疑問に対するアンサーは特に無い。ラスト付近で友人がナレ死するシーンも小説ならちゃんと描写してよかったのでは…。すべての元凶は悪霊そのものではなく、正体不明の禁忌の力であることが判明する終盤はなかなかスリリングなのだが、評価できるのはそこくらい。作者の味も出ておらず、一山いくらのノベライズに収まってしまっている。映画版は観ていないが、巻頭のスチルで主役陣にまぎれて載っている板尾創路の存在感が妙に強い。

★★(2.0)

 

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