『幽落町おばけ駄菓子屋』
蒼月海里／2014年／205ページ
このたび晴れて大学生となり、独り暮らしを始めることになった僕―御城彼方が紹介された物件は、東京都狭間区幽落町の古いアパートだった。地図に載らないそこは、妖怪が跋扈し幽霊がさまよう不思議な町だ。ごく普通の人間がのんびり住んでいていい場所ではないのだが、大家さんでもある駄菓子屋“水無月堂”の店主・水脈さんに頼まれた僕は、死者の悩みを解決すべく立ち上がってしまい…。ほっこり懐かしい謎とき物語!
(｢BOOK｣データベースより)
東京都は狭間区、幽落町のアパートに住むことになった大学生・彼方。幽落町は傘化けや豆腐小僧、ろくろ首に一つ目小僧といったアヤカシが暮らす、現世と黄昏との境にある町。彼方は美貌の駄菓子屋店主・水脈(みお)に見初められ、幽落町に迷い込む死者が持ち込む問題を解決してあげるのであった。｢第一話 さくらのわすれもの｣では、ハイキング中に事故死した少年の霊を連れ河津桜の咲く高尾山へ。｢第二話 ひとつになれない｣では一緒に心中したはずの相手を見失い、成仏できない男の霊と出会う。心中相手の殺人容疑をかけられた男のため、警察の誤解を解くことになるが…。｢第三話 かくれんぼしましょう｣では悪霊と化した女の子と、彼女が東京のどこかに隠した神社の御神体の行方を追う。
おそらく小学校高学年～中学生くらいが対象と思われ、血も凍る戦慄と恐怖を求める向きには物足りないと思われる。キャラ顔見せの一巻目だからか、主人公の彼方に目的というものがなく、普通に過ごしているうちに事件に巻き込まれて…というパターンなので物語としての請求力が弱い。謎解きも正直なところかなり単純で、ミステリとしての面白さも薄い。ほのぼのとした雰囲気は悪くないのだが、どうにもnot for meという印象だ。
★★（2.0）
