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新顔の妖怪たちが続々登場、すっかり日常モノの小話に-『幽落町おばけ駄菓子屋 夕涼みの蝉時雨』

『幽落町おばけ駄菓子屋 夕涼みの蝉時雨』

蒼月海里/2016年/208ページ

大学生の御城彼方は、あの世とこの世の境界に存在する幽落町に下宿し、駄菓子屋“水無月堂”の店主で大家でもある水脈さんとアヤカシたちの憂いを解決する日々。ある日、駄菓子屋の用心棒、猫目さんと大掃除をする中、見慣れぬ瀬戸物を見つける。その正体は付喪神だった。「まだ使えるのに捨てられた」ため人間への強い恨みを抱えている彼らに水脈さんは“金継ぎ”を提案する。大人気!ほっこり、謎ときミステリー、第7弾!

(「BOOK」データベースより)

 

 「第一話 あめのひに」では、物置と化した汚部屋を片付けているうちに付喪神の妖怪・瀬戸大将が出現。もう一度人間に使ってほしい、という欠けた瀬戸物たちの憂いを晴らすため、金継ぎをしてあげるのでした。「第二話 いなずまのこども」では、東京スカイツリーから落っこちてきた雷獣も子供を助けるため、浅草を巡って空に登れるような高い場所を探す。「第三話 もどるものたち」では、祖父の墓参りを兼ねて彼方と真夜が松島まで旅行にいくことに。海座頭の新キャラ・朱詩と遭遇した彼らは、(おそらくは東日本大震災の)海難事故者のケガレを鎮魂するため、郷土菓子「松島こうれん」を探し求めるのであった。「余話 うみからきたもの」では、仙台うみの杜水族館を観光します。

 本シリーズ、なんだか完全に『妖怪ウォッチ』のエピソードに混じっていても違和感が無いような話が増えてきた。物語自体はいちおう「彼方が将来のことを考え始める」という進展がちょこっとだけあるのだが、まあ停滞している感は否めない。

★★☆(2.5)

 

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