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忌まわしき独裁者の複製が、真の英雄に目覚めるまでの物語-『人造救世主 アドルフ・クローン』

『人造救世主 アドルフ・クローン』

小林泰三/2011年/336ページ

謎の組織MESSIAHのもと生み出された超人クローンたちとの死闘を続けるヴォルフ。闘いに巻き込まれてしまった女子大生、ひとみと共に死線をかいくぐり、ついに組織の研究所へと潜入する。だが、そこには新たな実験計画で作り出された強敵の姿が…!明されるヴォルフの過去、そして因縁の“あの男”との対決。ヴォルフは遺伝子の呪縛を乗り越え、真の英雄となれるのか!?未曾有のダーク・オペラシリーズ、堂々完結。

(「BOOK」データベースより)

 

 MESSIAHの研究所に潜入したヴォルフとひとみは、「金剛計画」により生み出された人喰い巨大類人猿・金剛と対決、辛くも撃退する。研究所で出会った少年・クリスはヴォルフと同じく能力を持たないクローンだった。クリスを連れて研究所を脱出するヴォルフたちだったが、クリスが入院している病院に金剛が来襲し人々を食い散らかす。クリスはヴォルフの持つロンギヌスの槍を自らに刺し、能力を発現させようとするのだが…。

 やたら頑丈なゴリラこと金剛は登場回数もやたらと多く、「同じ怪獣ばかりだと飽きちまうぜ」等のメタ発言も飛び出すが、回想の形で能力者バトルも描かれるので特に不満はない。新たな仲間の加入、敵に誘拐されるひとみ、本拠地へと乗り込むヴォルフ、そして姿を現す〈一番〉と、終盤に向けての王道展開が続々。「戦いはまだまだ続く」エンドではあるが、なかなか爽やかな終わり方である。

 今巻の表紙はムキムキの筋肉、剥がれ落ちたペルソナからジーンで間違いないだろう。この巻で活躍した葵のビジュアルも見たかった。

 

◆特別ふろく クローン人間リスト

一番 遺伝子:ヒトラー 能力:なし
二番 能力:他者の治癒
三番 能力:衝撃波
四番 能力:切断
五番 能力:毒棘
六番 能力:飛行
七番 能力:冷却(熱ポンプ)
八番 能力:命令強制
九番/ヴォルフ 遺伝子:ヒトラー 能力:なし 
十三番/赤鬼丸 遺伝子:織田信長 能力:炎
十五番/ジーン 遺伝子:マリリン・モンロー 能力:筋肉強化
十六番/ウォロン 遺伝子:諸葛孔明 能力:念力
十七番 能力:炎
二十二番/鱗 遺伝子:北条政子 能力:テレパシー
二十九番 能力:炎の爪
三十二番/グリゴリ 遺伝子:ラスプーチン 能力:透明化
三十三番/葵 遺伝子:春日局 能力:超高速
ラピュセル 遺伝子:ジャンヌ・ダルク 能力:幻覚
レオン 能力:水棲
アストン 遺伝子:アインシュタイン 能力:落雷
クリス 能力:劇薬

 

 私は歴史が非常に苦手なので、葵のDNA元については自信がありません。他はたぶん当たってると思う。

★★★☆(3.5)

 

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