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オーディオドラマのノベライズ。原作を聴けばいいような気がしないでもない-『キリノセカイ Ⅰ.キオクの鍵』

『キリノセカイ Ⅰ.キオクの鍵』

湖山真(原作:平沼正樹)/2013年/275ページ

突然、東京は原因不明の濃霧に覆われた。人々が視界を奪われたまま8年が過ぎたある冬の夜、タクシー運転手の仙堂は何者かに追われる少女ミアと出会う。仙堂は元刑事の勘に従ってミアを助け、行動を共にするようになる。ところが、彼女の秘密が明かされていくにつれ、4年前のある事件の記憶が蘇り始める。そしてそれは『霧の世界』の真相の入り口に繋がっていたーネットで話題沸騰のオーディオシネマが小説となって登場。

(「BOOK」データベースより)

 

 東京が原因不明の霧に包まれてから8年。元刑事のタクシードライバー・仙堂は、何者かに襲われていた少女・ミアを救う。ピンチに陥ると強烈な音波で周囲を昏倒させる能力を持つミアは、実は飛行機事故で死んだと思われていた仙堂の妻・鏡子の遺伝子を持つクローン人間の完成体、‟フィフス”だった。ミアの目的は自分と同じ境遇であるクローンの実験体を霧の外へ逃がすこと。実験体の脳は未完成でありいずれ死に至るが、霧の中で死亡した場合は狂暴性を持って蘇るのだという。その頃、仙堂の元同僚である刑事・都倉は、臓器密売組織のリーダー・フェイと連絡を取っていた。仙堂にとっては因縁の相手であるフェイだが、都倉は娘の臓器移植のためフェイと内通していたのだ。しかもフェイとその弟・シンは、ミアが探していた実験体だったのだ!

 

 オーディオシネマのノベライズ作品。本作の「霧に包まれた東京」という舞台や、仙堂が松葉杖をついているという設定などは、いずれもオーディオドラマとして聴く際の臨場感を計算して作られたものだという。確かに本文を読んでいても、情景が目に浮かぶ…いや、耳に聞こえる? ようなシーンも多い。ただ正直なところ、原作オーディオドラマを補完できるような小説ならではの描写に乏しく、物足りない印象はある。ぶっちゃけ物語としては「まあ、よくある話やなあ」以外の感想がなく、キャラクターも類型的に過ぎるので、声優の演技や音響が無いとなると…。ただ本書自体はかなり読みやすく、筋は理解しやすいので、こちらを先に読んで気になったら原作ドラマに触れる、という順番もアリかもしれない。

★★☆(2.5)

 

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