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霧に覆われた事件の真相がテンポよく明らかになっていくSFアクション-『キリノセカイ Ⅱ.報復のサガ』

『キリノセカイ Ⅱ.報復のサガ』

湖山真(原作:平沼正樹)/2013年/347ページ

仙堂とミアは鏡子の壊れたオルゴールから小さなリングを発見する。それには重大な情報が秘められており、ふたりはさらに霧の世界の真相に巻き込まれていく。一方、東京の霧の底では、運命に翻弄される人々の欲望が交錯していた。心臓病の娘のために孤独の道を選ぶ都倉、復讐を誓い暗躍するユリナ、記憶に苦しみ自らの出生の秘密を求めるフェイー彼らがその手につかむものとは!?話題騒然のオーディオシネマ小説化第2弾。

(「BOOK」データベースより)

 

 事件の黒幕は4年前、仙堂の妻・鏡子と同じ飛行機事故で死亡したはずの前東京都知事・国府だった。国府は飛行機の爆破とともにナノセル(極小細胞)をばらまいており、ナノセルはもう一種のナノセルと結合することで人間を思いのままに操る恐ろしい兵器になるのだった! …という事実がわりと早いうちに明かされる。心臓病の娘のために国府のクローンこと「ゼロ」と手を組む都倉、国府に復讐を誓う元秘書・升光ユリナ、そして国府の計画を阻止するためにはミナの力が必要だと知る仙堂、自分を産み出した遺伝子の提供者であるテロ組織指導者・シドの跡を追うフェイ。霧に覆われていた事件の全貌が少しずつ明らかになっていく…!

 

 たいへんテンポよく物語は進み、お約束のような‟黒幕”の登場もなかなか盛り上がる。エンタメ小説としては悪くないのだが、やはり本作はどう考えてもホラーではない。くたびれた中年のおじさんがかっこよく活躍する小説が読みたい時にはちょうどよいと思われる。

★★☆(2.5)

 

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