『人造救世主 ギニー・ピッグス』
小林泰三/2011年/238ページ
歴史上の偉人たちの遺伝子から生み出された、究極の“超人”たち。彼らは少年少女の姿に恐るべき力と残虐性を秘め、謎の組織MESSIAHのもと暗躍を続けていた。偶然彼らの秘密を知った女子大生ひとみは、友人のジーンと共に彼らに狙われることに。一方“人類の敵”と呼ばれる男のクローンでありながら、敢然と組織に敵対する青年ヴォルフは、ひとみを守ろうと血みどろの死闘を繰り広げるが…!?未曾有のダーク・オペラ、第2弾。
(「BOOK」データベースより)
ヴォルフの正体はヒトラーのクローンであり、MESSIAHは科学と魔術でヒトラー復活をもくろむホラーおなじみの悪の組織・ナチス残党であった。超能力を発現しなかった出来損ないの器を始末するため、不可視の暗殺者・グリゴリと葵がヴォルフを急襲する。
MESSIAHを脱走したことで能力を発現した〈一桁〉ナンバーの8人と追手たちの死闘、MESSIAHの新たな目的「金剛計画」と「バタリアン計画」、刺客としての正体を現した仲間との対決…などなど、王道のバトル展開のつるべ打ち。「冷凍」や「透明化」といった、この手の作品ではおなじみの能力をSF的に考証していくのも面白い。面倒くさいオタク向けのライトでハードなエンタメ作品だ。ちなみに「キリストのDNA汁をぶち込んだら超能力が発動した」という設定も個人的には好き。まあ救世主を造ろうとするならまずキリストのDNA試すよね。
今巻の表紙は十字架モチーフなのと剣を武器にしているところから、ジャンヌ・ダルクのクローン人間、ラピュセルで間違いないだろう。比較的チョイ役だけど。
★★★☆(3.5)