角川ホラー文庫全部読む

全部読めるといいですね。おすすめ作品等はリストから

過去に犯した「7つの大罪」の首謀者を吊れ!お約束展開が普通に楽しい密室スリラー-『8番目のマリア』

『8番目のマリア』

美輪和音/2014年/301ページ

目覚めると7角形の部屋にいた中学時代の同級生7人に、仮面をかぶった人物が告げる。「皆様方のチャクラには悪しきカルマが蓄積しています。7人に共通する罪を告白して浄化するとともに、罪の主犯を多数決で決めてください」7色の椅子に拘束され、迎えた1回目の投票、最多得票の元同級生は首を吊られて殺された―。戦慄の心理戦の先に浮かび上がる真相とは!?驚愕のラストまで、一気読み必至のシチュエーションホラー!!

(「BOOK」データベースより)

 

 あらすじを見ればわかる通り、ソリッドシチュエーションスリラーやデスゲームものの典型的な設定。ゲーム『ダンガンロンパ』シリーズっぽくもある。

 青史、藍、すみれ、赤星、橙馬、黄金崎、緑子の元同級生たち7人が7角形の部屋に集められ、7人全員で過去に犯した7つの罪を告白し、懺悔するよう迫られる。成功すれば7000万がゲットできるが、1つ罪を告白するごとに「首謀者」を投票で決めることになり、最多投票者は首を吊られてしまう…というルール。「誰が誰に投票したかはわからないようになっている」「誰にも投票しなかった場合は自分に投票したことになる」「最多投票者が同数で2人以上いた場合は誰も吊られない」というのがミソで、要は全員が投票を棄権すれば全員生存して帰れるのである。でもまあこういう作品のお約束として、全員がそれぞれ脛に傷を持っていたり、性格が最悪だったりするので1人死に、2人死に、残された者は疑心暗鬼に陥って醜い争いが始まるというワケであります。
 7人は全員「いかにも」なお約束的キャラしかいないが、そのおかげか行動には説得力があり展開にも無理がない。虹の7色、七つの大罪とそれをつかさどる悪魔といったこれまた大変わかりやすいモチーフもちょうどいいアクセントになっている。結末まで引っ張る力量はなかなかのもので、ゲームの主催者の正体や目的もきっちり明かされる。玉石混淆な感のあるこの手の作品の中では無難に楽しめる出来。

★★★(3.0)

 

◆Amazonで『8番目のマリア』を見る(リンク)◆

www.amazon.co.jp