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アヤカシの美青年たちと名所めぐり。平和なもののけ東京ガイド-『幽落町おばけ駄菓子屋 夏の夜空の夢花火』

『幽落町おばけ駄菓子屋 夏の夜空の夢花火』

蒼月海里/2015年/192ページ

黄昏と境界の街、幽落町に夏がやってきた。訳あって1年間限定で、おばけや妖怪たちと同じ“常世の住人”になってしまった僕・御城彼方も、大学に入って初めての夏休みを満喫していた。さっそく駄菓子屋“水無月堂”店主の水脈さんと、隅田川の花火を見に行く約束をするものの、花火大会当日はあいにくの悪天候で…。水脈さんの飼い猫・猫目ジローさんの切ない過去も明らかになる、ほっこりやさしい謎とき物語、第3巻!

(「BOOK」データベースより)

 

 3篇+幕間の余話という前2巻と同じ構成。以降もこの形がデフォルトのようだ。「第一話 とどいたねがい」は、レギュラー陣のイケメン4人で隅田川花火大会を見物する場所を探すため、上野近辺を散策しながらキャッキャする話。「おとなの週末」「東京WALKER」となんら変わらない。「第二話 おわらないなつやすみ」では、主人公・彼方が珍しく女性キャラと絡む。幽落町に迷い込んで来た漫研所属の内気な女子高生・静香を現世へ送り届けようとする彼方だったが、彼らがたどり着いたのは死んだはずの静香の祖母が暮らす田舎の一軒家。永遠に「8月32日」を繰り返すこの空間を抜け出すには…。「第三話 いとしいあなた」は、水脈さんの限界オタこと化け猫・猫目の過去が明らかになる。以前の飼い主の妹と出会った猫目だが、妹の夢の中で水死した姉(飼い主)がたびたび現れると聞く。飼い主の遺した現世への未練とはいったい何なのか、というお話。

 ホラーではないものの、キャラクターノベルとしては安定した内容。この世界の警察がいくらなんでも無能すぎるのは気になるが…。警察が優秀だと水脈が推理する必要がなくなるわけだが、まあ水脈が推理を披露する展開自体が少々ムリヤリな気もする。

★★★(3.0)

 

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