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横溝正史のジュブナイル探偵小説を少女ホラー漫画へと見事にリメイク-『血まみれ観音 ~高階良子傑作集~』

『血まみれ観音 ~高階良子傑作集~』

高階良子/1995年/410ページ

肩に刻みこまれた人面疽の謎を追い、血飛沫が飛び散り、恐怖が襲う「血まみれ観音」(横溝正史「夜光虫」より)。絶望の淵に立たされた少女を助けに来た天才医師が踏み入れたのは、破滅への道なのか? 生体実験を描く「地獄でメスが光る」等、怨恨と狂気の世界を描いた傑作怪奇ロマン!!

(裏表紙解説文より)

 

 「血まみれ観音」は横溝正史の原作を大胆に改変、「人面疽を持つ美少年&唖の少女」という主役コンビを「追手から逃れるため男装するじゃじゃ馬の少女(一人称は“あたい”)&かつて婚約を誓った美少年」とキャラの性別すら変更しているが、これが実にしっくり来ている。原作にあった見世物小屋的な不気味な雰囲気は多少抑えられている一方、冒険活劇的なノリは受け継がれており楽しく読める。「地獄でメスが光る」は不美人の少女を実験台にして、死体をつぎはぎして作った美女に脳移植をする…という、まんまフランケンシュタイン博士のような実験に挑むイケメンマッドドクター(マリファナ中毒)の物語。「闇におどるきつね」はコックリさんでキツネの霊が憑いてしまった少女の話だが、キツネだと思われていた存在は実は彼女に眠っていた超能力が顕在させたもので…というなんだか複雑なお話。キルリアンフォトマシンなる小道具も出てくる。

 講談社漫画文庫の『血まみれ観音』とは収録作品が異なり、共通しているのは表題作のみ。ホラー漫画的な陰惨さは薄く、エキセントリックな美形キャラは実に魅力的に描かれている。原作のアレンジの仕方も完璧で、作者の高い力量を感じさせる。

★★★(3.0)

 

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