角川ホラー文庫全部読む

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耽美・グロに特化した、ディープなオーケンファンに(のみ)刺さるコミック-『ステーシー』

『ステーシー』

原作:大槻ケンヂ、漫画:長田ノオト/2001年/182ページ

――近未来。一五歳から一七歳の少女が原因不明の死をとげ、人間を襲う屍体となって蘇る現象が世界中で蔓延していた。彼女らは“ステーシー”と呼ばれ……。
大槻ケンヂ入魂の純愛ホラー小説を鬼才のカルト漫画家・長田ノオトが、その猟奇にして耽美な画風で完全コミック化。さらに処女詩集『リンウッド・テラスの心霊フィルム』からも珠玉の三編を描く。異形を美学する二人による戦慄のコラボレーション!!

(裏表紙解説文より)

 

 映画『ステーシー』公開の2001年に刊行された漫画版で、帯にも大槻ケンヂのコメントが載せられている。ぶんか社版単行本の一目でヤバいと感じさせる表紙よりも、本書の表紙の方が個人的には好みである。長田ノオトの耽美でグロテスクな画風はオーケンの世界観を再現するのにはピッタリ過ぎるほどではあるが、もともと説明不足感のあった原作から、特にエキセントリックな部分のみを画に起こしているものだから、一読してもまったくストーリーは理解できないだろう。原作履修済みの人向けのコミックである。角川ホラー文庫版『ステーシー 少女ゾンビ再殺談』では省かれていた挿絵が再収録されているのは良いと思う。

 『リンウッド・テラスの心霊フィルム』収録の「電波虫」「モンブラン」「なつみさん」がコミック化されているのはこれまたオーケンファンにはうれしいところで、この3編は不可解度とインパクトでは原作以上とも言える。どちらにせよディープな読者向けではあるのだが。

★★★(3.0)

 

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