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全部読めるといいですね。

楽しく学べる殺人世界史。いわゆる「シリアルキラー」は少なめだが満足度高し-『美しき殺人鬼の本』

『美しき殺人鬼の本』

桐生操/1995年/267ページ

猟奇殺人鬼、大量殺人鬼、人肉供食鬼、毒殺鬼や女独裁者など、自らの衝動のおもむくままに残忍な殺戮をくりひろげた殺人鬼たち。その手口のあまりのすさまじさ、むごたらしさに、あなたはきっと目を離せなくなるはず…。夜な夜な繰り広げられる血の饗宴に魅せられた殺人鬼たちの肖像を綴った、めくるめく戦慄の殺人鬼世界。

(「BOOK」データベースより)

 

 20人の殺人鬼について記したノンフィクションのルポルタージュだが、一般的に殺人鬼と言われて想像するであろう、いわゆるシリアルキラーについては意外と少なめ。イヴァン雷帝カトリーヌ・ド・メディチ則天武后といった歴史に名を残す暴君や独裁者など、『FGO』のサーヴァントになってもおかしくない(もうなってる?)ような大物が多い。エンターテインメントに振り切った罪深き書物で、血と臓物に塗れた世界史を軽快な文章で楽しく学ぶことができる。

 もちろん、様々なホラー映画・ホラー小説に影響を与えた伝説的食人鬼エドワード・ハワード・ゲイン、ロシアの52人虐殺犯アンドレイ・チカチーロ、エドワード・ゴーリの絵本のモデルにもなったムーアズ殺人事件のマイラ・ヒンドレーといった伝説的な連続殺人鬼も登場する。やはり昔の王様だの貴族だのよりは、現代の一般的市民の異常犯罪のほうが生々しくて恐ろしい。

★★★☆(3.5)