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実質、クライマックス前後編の前編。この勢いのまま最終決戦へ!-『妖琦庵夜話 顔のない鵺』

『妖琦庵夜話 顔のない鵺』

榎田ユウリ/2020年/256ページ

「御指を、いただきたく存じます」洗足伊織のもとに現れた老婦人は、妖人“鬼指”と名乗る。刃を手に、指をくれと迫りながらも、彼女はひどく怯えていた。他にも“シシン”、“天邪鬼”と、存在しないはずの妖人たちが伊織に近づく。青目の関わりを察した伊織は、家令・夷にある指示を下す。一方、刑事の脇坂は『麒麟の光』事件の真相を追う。そこには正体不明の“鵺”の気配が潜み…。本当に悪い奴は、誰なのか。妖人探偵小説第8弾。

(「BOOK」データベースより)

 

 「麒麟の光事件」以降、自称・妖人たちが次々と伊織を狙う異常事態が発生。路上で鉈を振るい、腕を落とそうと狙う《シシン》。妖琦庵を訪れ、小刀を構えて「指をくれ」と迫る老婆《鬼指》。小鳩ひろむを通じて伊織に接近する《天邪鬼》。なぜ彼らは伊織の肉体を奪おうとするのか? 《シシン》《鬼指》《天邪鬼》、三者の共通点が明かされたとき、背後で彼らを操る最強最悪の存在が姿を現す…!

 

 これまでのシリーズの中では短めで、かつ過去作を呼んでいることが前提の物語になっている。ぶっちゃけクライマックスへの前フリでしかなく、前後編の前編のような多少の物足りなさは感じてしまう。これまでの事件の関係者が集う展開、芳彦vs青目のガチバトル、マメの中に潜むトウの復活など見どころは多いが、とにかく次を読ませてくれ! という気分。次巻ついに決着!

★★★(3.0)

 

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