角川ホラー文庫全部読む

全部読めるといいですね。読んだ上で、おすすめしたい作品は全力で推します。

新居のお悩み解決が、日本軍と聖遺物を巻き込む壮大な風水バトルに発展!-『ワタシnoイエ』

『シム・フースイ Version1.0 ワタシnoイエ 』

荒俣宏/1993年/465ページ

新しい家にカビが異常に繁殖する。妻がノイローゼになり困り果てた小林正彦は、半信半疑で風水師・黒田龍人の事務所の扉を叩いた。風水師は土地や建物を看て吉凶を判断し、適切な処置を施す。調査を開始した黒田は、恐るべき邪気の存在を知る――。風水ホラー第1弾。

(Amazon解説文より)

 

 まだ風水が世間的に認知される前、角川ホラー文庫初期の人気シリーズ。風水師・黒田龍人(『帝都物語』に登場した風水師・黒田の孫という設定がある)とそのパートナー・有吉ミヅチが巻き込まれる風水バトルを描く。ちなみにシム・フースイは黒田が作り上げた風水シミュレーションゲームの名称である。

 新居がカビに覆われて悲惨なことになっている新婚夫婦の相談を受けた黒田。彼らは「契約した人がことごとく死んでしまう」という悪評が立っている生命保険にも入っていた。で、新居も保険会社の社屋も風水的にサイアクだったので観葉植物を置いたりして対処療法するわけです。そうこうしているうちに当の保険会社社屋を設計した邪悪な風水師の目的が明らかになり、日本軍の野望やとある聖人の遺物を巡る壮大なスケールの伝奇オカルト風水アクションに発展。終盤はなんだかわからないバケモノとの対決もあったりして盛り上がる。

 ところどころ盛り込まれる風水うんちく・歴史雑学はストーリーを完全に停滞させてしまっているのだが、中身が面白いので問題ないです。霊感は超能力でもなんでもなくマイナスの能力で、ミヅチは常にストレスに身をさらすことで霊感を高めているという設定は今なお斬新だ。ミヅチは今回は囚われのヒロインみたいな立場だったが、今後活躍するのだろう。どうも黒田という男、ミヅチへの対応がうまくないというか鬼畜に近い所業である。

★★★☆(3.5)