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全部読めるといいですね。読んだ上で、おすすめしたい作品は全力で推します。

ガスマスク姿の硫酸かけかけマン登場! 勢い任せの都市伝説ホラー-『えじきしょんを呼んではいけない』

『えじきしょんを呼んではいけない』

最東対地/2018年/288ページ

「アレを最初に呼ぼうと言い出したのは―」バイト仲間とある島に旅行に行った住谷秋乃は、フリーライターの京本陽介に旅先での恐怖体験を語り始めた。“えじきしょん”―島の住人がそう呼ぶ、人を溶かしにやってくるという恐ろしい怪物の伝承。溶かされた猫の死骸を島で目にしていた秋乃たちは、宿の主人から聞いたその話に興味を持ち、音声検索で調べてみる。すると、スマホの音声は答えた。「えじきしょんを呼び出しました」

(「BOOK」データベースより)

 

 ガスマスクにタンクを背負い、「ぴったん」と叫びながら噴射する溶解液で人間をどろどろに溶かしてしまう…という、都市伝説の怪人じみた「えじきしょん」の造形がまず素晴らしい。写真に撮られると速攻で襲ってくる、致命傷を与えれば倒せるが次は人数を増やして現れる…といった理不尽なルールがあるのも非常に「ソレ」っぽい。

 本当にしょうもないきっかけで「えじきしょん」を呼んでしまった連中が、仲間の犠牲と共にこうしたルールを少しずつ解いていく…という王道の展開。仲間内のドロドロ感、正体が示唆されつつもけっきょく何なのかよくわからないえじきしょん、といった展開もお約束で良い。イマイチ芯を食ってない描写やかなり勢い任せな部分もあり(最初に溶けていた猫はいったいなんだったんだとか、終盤の「Uさん」の無茶な言動だとか)、「?」となる部分も多いのだが、あまり深く考えずグルーヴ感を楽しむ1作だろう。

★★★(3.0)