『ミミズからの伝言』
田中啓文/2010年/293ページ
夫が健康食品用にミミズの養殖を始めたために、“ミミズっち”と揶揄され会社も解雇された倫子。その秘密をばらしたのは同僚の清美だった。ある日、清美に倫子からの携帯メールが届く。“近況報告でーす”というメールに書かれた禁断の内容とは…!?(「ミミズからの伝言」)。都市伝説、神話、ミステリ、SFと、あらゆるジャンルを駆使して、人間の欲望と恐怖の根源を描破した7つのホラー短編。
(「BOOK」データベースより)
グロテスクとブラックなギャグにまみれたタチの悪い短編集。‟個人的には好きだがまったくオススメできない”タイプの1冊。作者があとがきで記している通りほとんどの作品が駄洒落ネタで、駄洒落でオチている「兎肉」「赤ちゃんはまだ?」の脱力具合はクセになること請け合い。無粋ながら解説しておくと「ミミズからの伝言」の元ネタは『水からの伝言』というトンデモ本界隈では有名な疑似科学本で、水に「ありがとう」などと言葉をかけるとキレイな結晶ができるとかいう内容。巻末の伝奇ホラー「糞臭の村」はタイトルからして嫌な予感しかしないが、序盤からバンバン出てくる糞尿はむしろ脇役で、村に潜む闇の存在は別のベクトルでアレな存在だったりする。
★★★★(4.0)