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デート先でも容赦ない怪異と、それを乗り越えるふたり。甘々か?-『ホーンテッド・キャンパス きみと惑いと菜の花と』

『ホーンテッド・キャンパス きみと惑いと菜の花と』

櫛木理宇/2016年/320ページ

ついに森司がこよみとデート!?映画化もされた大ヒット作、待望の最新刊!

雪越大学 オカルト研究会に所属する、超草食系大学生の森司。
しかし、奇跡は起きた。
なんと、こよみちゃんと、菜の花の有名な福島潟で初デートすることになったのだ!
その日に向け、森司は着る服(と自らの体型)に頭を悩ませる。
オカルト研究会のメンバーも、二人のデートに興味津々だ。

けれど依頼人は容赦なくやってくる。
連続殺人事件現場の横に立つ豪華な洋館に現れた、女の足だけの霊。
森司がかつて経験した、先輩の同時二重体(バイロケーション)の謎。
そしてデート当日にまで、恐怖は忍び寄ってきて!?
甘甘なのに身の毛もよだつ、青春オカルトミステリ第10弾!

(Amazon解説文より)

 

 前巻でこよみとデートの約束を取り付けた森司。その日を迎えるまでの準備と、相変わらず頻出する怪異にバタバタ追われる様子が描かれる。そしてデート当日も容赦なく怪異は姿を現すのだった。

 「目かくし鬼」-父親が遺した、古びた洋館に住む若夫婦と幼い娘。妊娠中の母親が見た「女の足だけの幽霊」の正体は? 屋敷を調査するオカルト研究会は、かつて洋館の付近で起きた連続殺人事件に注目する…。歴史ある洋館、シリアルキラー、そして「呪われた血」というなんとも大掛かりなミステリ。古き良き探偵モノのようですらある。

 「よけいなもの、ひとつ」-森司がオカ研に仮入部し、自分の霊感体質を部員たちに明かすまでの時期を描いたエピソード。ていうか今までその話やってなかったんだと気づかされる。尊敬する中学時代の先輩・降矢と再会した森司だが、降矢と同じ製菓部の初穂から「研究室にいるはずの降矢が、調理室でお菓子を握りつぶしているのを見た」と聞かされる。オカ研の黒沼部長は降矢の無意識が起こしたバイロケーション現象だと推測するが…。

 「いちめんの菜の花」-子供たちの間で流行っているチェーンメールについての相談を受けたオカ研は、チェーンメールに記されていた「盤山の奥屋敷」の調査に赴く。むせかえるような花の香りに包まれた奇妙なその屋敷は、とある新興宗教団体の集会所らしかった…。と、ここまで調査したところで森司とこよみのデートの日が来てしまう。菜の花が一面に咲く福島潟でふたりきりの時間を満喫するも、森司は生きている人間のものではない、ひりつくような視線を感じていた…。

 

 節目の10巻らしいイベント巻。起きる怪異がなんだかいつも以上に大掛かりというか全国規模の大事件として報道されてもおかしくないレベルになっているが、まあこれも森司とこよみの前座ってことで。

★★★☆(3.5)

 

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