『バイオハザードⅢ』
キース・R・A・デカンディード(著)、富永和子(訳)/2007年/382ページ
T・ウイルスの感染により、世界はアンデッドで埋め尽くされた砂漠と化す。アリスはアンブレラ社に監視衛星で追跡・コントロールされていることを知り、仲間たちから離れ、単独行動をとっていた。すべての元凶であるアンブレラ社は、アイザックス博士のもと、アリスのクローン実験「アリス計画」を繰り返す。アンブレラ社をもあざむくアイザックス博士の恐るべき野望とは――? 超人気映画シリーズ待望の第3弾ノベライズ!
(裏表紙解説文より)
前作と同じ著者によるノベライズで、相変わらず設定のすり合わせがうまい。原作映画は完全に崩壊したアポカリプス後の世界を舞台にしており、しかも真っ昼間の砂漠がメインなもんだからほとんど『マッドマックス2』で、サイコキネシスを操るスーパーヒロインと化したミラ・ジョボヴィッチがCGのカラスを焼き尽くすシーンはゲームからだいぶ遠いところまで来てしまったなという印象だった(まあゲームの『バイオハザード5』も太陽照りつけるアフリカが舞台だったが)。
このノベライズは映画『Ⅱ』と『Ⅲ』の合間、世界がいかにして崩壊していったのかを綿密に描いているほか、ジル・バレンタインやアンジーなど、『Ⅲ』に登場しなかった前作の重要キャラのエピソードも載っているため、補完としては非常に優れている。本書のように置いてけぼり感と唐突感をもう少し薄めていてくれれば、映画『Ⅲ』の評価も変わったのではなかろうか。『バイオハザード』関係ないアクション映画として観れば話の筋自体はまあ悪くなかったのだな、と再確認させてくれた。
★★★☆(3.5)