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映画のスリリングさを再現しつつちょっと違った展開も楽しめる、理想的なノベライズ-『バイオハザード』

『バイオハザード』

牧野修(箸)、ポール・W・S・アンダーソン(脚本)/2002年/275ページ

巨大企業アンブレラ・コーポレーションが地中深くに作り上げた秘密の研究所“蜂の巣”で、開発中のウイルスが漏洩する事件が発生。鳴り響く非常警報、遮断される通路、噴射されるハロンガスにまかれ、人々はばたばたと息絶えていった。一方古風な洋館で目覚めたアリスは自分の記憶が失われていることに気づく。突如侵入してきた特殊部隊に拉致され、ハイブに潜入するアリスを待ち受ける恐るべき陰謀とは―。常識を超えた恐怖を描く渾身の一作。大人気ゲームの映画化とのコラボレーション。

(「BOOK」データベースより)

 

 原作ゲームの大胆な改変っぷりがプラスに働いた、映画版『バイオハザード』のノベライズ。ノベライズにありがちな「内面描写が淡泊」「見せ場が多すぎるせいで場面場面の印象が弱い」といった弱点はベテランの牧野修でも完全に解決できてはいないものの、個性的なキャラと適度に予測を裏切るスリリングな展開、ガンガン人が死んでいく景気の良さはすばらしい。とあるキャラの生死など映画版と異なる点もあり、続編でコイツがアレしたのはどうなるんだと心配になったりもするが、そこも含めて単に映画版をなぞるだけにはしないという気概を感じる。映画の雰囲気を味わいつつも、ちょっとしたifの展開も楽しめる、理想的なノベライズだ。

★★★(3.0)

 

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