角川ホラー文庫全部読む

全部読めるといいですね。おすすめ作品等はリストから

クセ強刑事ドラマを小ネタも含めて忠実にノベライズ-『ケイゾク/シーズン壱 完全版』

『ケイゾク/シーズン壱 完全版』

西荻弓絵(ノベライズ:市川亮、橋爪敬子)/2000年/518ページ

迷宮入り事件ケイゾク調査を専門に扱う「捜査一課弐係」。そんな弐係に東大卒の女性キャリア新人・柴田純が研修で配属された。IQ199という天才捜査官柴田(ファッションセンスは0)は、時効寸前の難事件を次々に解決していく。しかし、同僚真山が絡んでいる“ある事件”が、柴田の前に大きくたちはだかった!!雅との愛の日々、妻との離婚等など、切ない男心を綴った公式ホームページ掲載「野々村光太郎 弐係の最悪な日々 谷シャンテ~ね」を収録。

(「BOOK」データベースより)

 

 中谷美紀・渡部篤郎主演ドラマのノベライズ。迷宮入りになった事件を“鋭意継続捜査”する警視庁捜査一課弐係。出世コースから外れた曲者が集うこの部署に、東大主席のキャリア組・柴田純が研修として配属される。その頭脳で数々の難事件を解決し弐課の評判を上げていく柴田だが、先輩刑事・真山や野々村課長をはじめとする弐課の仲間たちも、エキセントリックかつマイペースな彼女を陰ながら支え、強い絆で結ばれていく。だが、真山が刑事生命をかけて追いかけているとある事件が、柴田と弐課に最大の危機をもたらすことになる…。

 原作ドラマにかなり忠実なノベライズで、筋立てはもちろん軽いギャグも含めほぼすべて再現されている。それなりに分厚い本書だが、ドラマ11話分を観るよりは早く読めるだろう(多分)。初期はホラー要素の薄い刑事ドラマだが、真山の宿敵・朝倉が本格的に行動を開始する第8話「さらば愛しき殺人鬼」からは怒涛の展開となり、衝撃的なラストまで目が離せない。刑事ドラマとして見れば、引退間近の老刑事(ドラマでは泉谷しげる)が時効寸前の事件を追う…というベタベタな設定の第6話「史上最悪の爆弾魔」は、トリックの暴き方も含めてなかなかの良エピソードだった。
 
 巻末掲載の野々村課長の日記「野々村光太郎 弐係の最悪な日々 谷シャンテ~ね」はわりとしょうもないのだが、重めな本作のラストをちょっぴり和らげてくれる。ちなみに本作のホラー要素を一身に担う朝倉は続編シリーズ『SPEC』でもその存在が示唆されているようだ。

★★★(3.0)

 

◆Amazonで『ケイゾク/シーズン壱 完全版』を見る(リンク)◆

www.amazon.co.jp