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超能力犯罪VS探偵事務所。ようやく話が動き始めたところで打ち切りに…-『流星事件2』

『流星事件2』

面出明美/2013年/218ページ

16年前、突如飛来した謎の局地的流星群の影響で、数多の超能力者が日本に誕生。そして現在。表向きは平凡な業務をこなす「海堂探偵事務所」には、強い超能力を持つ若者が集っていた。実は彼等は「メテオ・バースト・メンバーズ」―通称MBMに所属し、警察にもさばききれない犯罪を追う裏の顔を持っているのだ。その探偵事務所にある日、人気女性アイドルから、能力者によるストーカー事件の相談が持ち込まれて…。

(「BOOK」データベースより)

 

 日本人の7割が超能力を持つ時代。主人公たちの探偵事務所にストーカーに悩まされるアイドルからの依頼。犯人は神出鬼没で姿が見えず、テレポート能力を持つのではないかということだったが、そもそもテレポートという芸当を行える能力者は今まで確認されていない。つまりは別の能力、あるいはトリックを用いた犯罪と思われるが…。

 ぶっちゃけキャラ設定がテンプレなので、キャラ紹介に徹した1巻目はかなり退屈な印象だったが、レギュラー陣と世界観を活かして超能力犯罪に挑んでいく本作はそれなりに読める。妙にあざとい描写は減り、ゲストキャラである人気アイドルの沙夜、主人公の先輩の父親である俳優・本城も印象的な好人物として描かれている。相変わらずホラー味は極薄なものの、「(派手ではない)超能力の存在」という普通のミステリとはいっぷう変わった味付けが効いているのではないか。正直なところ前巻の内容を半分くらいのページ数で収めて、この巻とまとめた方がよかったような気もする。
 このままラスボスとの対決に進みそうな結末だったが、シリーズはこの巻で中断されてしまっている。この時期の角川ホラー文庫のラノベ風作品はこういう例が多い。

★★★(3.0)

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