『ソウ ザ・ファイナル ―SAW3D』
行川渉(著)、パトリック・メルトン、マーカス・ダンスタン(原案)/2010年/230ページ
ジグソウのゲームを生き残ったボビー・デイゲン。“サヴァイバー”としてマスメディアに取り上げられた彼は現代のイコンとして祭り上げられてしまう。彼のもとには同じようにゲームを生き残った者たちが次々と集ってくるが、ボビーの過去には、メディアにも知られていない秘密があり…。ホフマンVSジルの行方は!?果たして「ゲームオーバー」を最後に言うのは誰なのか?!衝撃の結末。
(「BOOK」データベースより)
3Dで公開されたシリーズ完結作のノベライズ。映画『ソウ』シリーズは7年のブランクを経て新作が何本か出ているが、そちらはノベライズ化されていない。
ジグソウのゲームのサバイバーが集う「ジグソウ生還者の会」なるものが結成されており、過去のキャラクターがぞろぞろ登場する辺りはいかにも最終回の雰囲気。今回メインとなる被験者は、ゲームから生還した体験を本に書いて大儲けしたボビー。だがそれは完全に嘘っぱちで、彼はゲームに参加したことすらなかったのだ。当然妻や仕事仲間ともども取っ捕まって悲惨な目に会うのだった。
考えてみれば『4』からこの7作目までは、ジョンが完全に見込み違いをしたせいでジグソウの後継者としては役者不足としか言えない単なる大量殺人鬼・ホフマンがその思い上がりを正せられるだけの物語だったわけだ。そして本作のラストには“真の”ジグソウの後継者が現れ、物語の円環は閉じる。――ゲームオーバー。
ノベライズ版はシリーズを通して主観視点で描かれており、映画のストーリーの補強としては悪くなかった。むろん映画本編はそのビジュアルの強烈さがウリだが、ノベライズ版で慣らしておけば血やグロが苦手な人でも耐性が付くかも。付かないかも。
★★★(3.0)