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自殺志願者を救うネットのカリスマの正体を暴け! 安定のシリーズ第3作-『AID 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』

『AID 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』

内藤了/2015年/383ページ

都内の霊園で、腐乱自殺死体が爆発するという事件が起こる。ネットにアップされていた死体の動画には、なぜか「周期ゼミ」というタイトルが付けられていた。それを皮切りに続々と発生する異常な自殺事件。捜査に乗り出した八王子西署の藤堂比奈子ら「猟奇犯罪捜査班」は、自殺志願者が集うサイトがあることを突き止める。その背後には「AID」という存在が関係しているらしいのだが…。新しいタイプの警察小説、第3弾!

(「BOOK」データベースより)

 

 もはや「安定の面白さ」と言い切っていいと思われるシリーズ第3弾。今回の真犯人は“AID”。自殺志願者が集うサイトで生命の大切さを粘り強く説き、カリスマ的に崇拝される謎の人物。とある自死事件を追っていた比奈子たちはAIDにたどり着くが、時を同じくして除草剤を飲んで苦悶の表情のまま息絶える自殺者が続出する。自殺者の陰に見え隠れするAIDの存在。ネットの聖人の正体は、劇薬をばらまく狂った殺戮者なのか…?

 猟奇描写はやや控えめ。オタク鑑識の三木、毛深くゴツい外見ながらも可愛らしいコンカフェ店員(三木の彼女)、前作で比奈子に命を救われた親子とその事件で世話になった巡査など、過去作でチョイ役だった人々が再登場&本格登場して掘り下げられ、世界観が少しずつ広がっていくというシリーズ物ならではの醍醐味がうまく盛り込まれている。相変わらず真犯人の正体は早々に予想がつくのだが、今回は一捻り入っており見事に裏切られてしまった。ワンパターンに陥らない工夫も含め、お手本のように手際のいい展開に舌を巻く。

★★★☆(3.5)