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準レギュラー陣が活躍するも、主人公あってのシリーズだと再確認する結果に-『ONE 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』

『ONE 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』

内藤了/2016年/244ページ

比奈子の故郷・長野と東京都内で発見された複数の幼児の部分遺体は、神話等になぞらえて遺棄されていた。被虐待児童のカウンセリングを行う団体を探るなか深手を負った比奈子は、そのまま行方不明に。残された猟奇犯罪捜査班の面々は各地で起きた事件をつなぐ鍵を必死に捜す。そして比奈子への復讐心を燃やしている連続殺人鬼・都夜が自由の身となり向かった先は…。新しいタイプのヒロインが大活躍の警察小説、第6弾!

(「BOOK」データベースより)

 

 前巻『ZERO』の直接的な続編。比奈子が前巻のラストから拉致監禁状態のため、比奈子以外の猟奇犯罪捜査班の面々が活躍する巻になっている。主人公不在でも話が展開するのは成功しているキャラクター小説ならでは。
 相変わらず真犯人「ZERO」の正体はわかりやすい…というか消去法で行けば1人しかいないので、それが明かされた時の驚きは薄いのだが、まあ遣る瀬無い真相である。今回の話でもっとも恐ろしいのはZEROでも連続殺人犯・佐藤都夜でもなく、ネグレクトの果てに子供を死なせ、結果オブジェの部品にさせてしまうような親の無関心ではないかという気もするが…。本来なら犠牲者に心痛めるはずの比奈子が今回それどころじゃないせいもあるが、なんとも後味の悪い事件であった。本シリーズの猟奇事件のエグさを中和してくれるのが比奈子の「普通の良識人としての感性」だったのだなと再確認したしだい。

★★★☆(3.5)

 

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