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叙述テクニックとブラックユーモアで読ませる、技アリな短編集。性格悪くて最高!-『三丁目の地獄工場』

『三丁目の地獄工場』

岩城裕明/2016年/245ページ

「代わりましょうか?」仕事に疲れ果てていた私は、居酒屋で謎の男に声をかけられ、ヤケクソで「代われるもんならね」と応えてしまう。気がつくと本当に男と入れ替わり、毎朝“地獄”に出勤するはめに―「地獄工場」。片足を異常な長さに改造されてしまった男が見た世界とは?―「怪人村」。死者を漬けると数日後に蘇るという瓶に、女の子の死体を漬けこんだ僕―「女瓶」ほか、不条理の天才が描く、世にも奇妙な5つの恐怖。

(「BOOK」データベースより)

 

 これは凄い。叙述テクニックとブラックユーモアで読ませるタイプの文章で、怖くはないが一気に読み進められる。ホラーのお手本のような「女瓶」のじっとりしっとり感、「地獄工場」のいろんな意味で地獄としか言いようのない不条理さも好みだが、巻頭作「怪人村」の人を食った展開が捨てがたく、個人的にはこれがいちばん好み。

 「ぼくズ」「キグルミ」は完全に煙に巻かれてしまった。この2作、「なんなのだ、これは」と思わず口に出してしまうようなかなりの実験作で、解説できる自信が無い。正統派とトリッキーが混在した、まさに奇妙としか言いようがない短編集。

★★★★(4.0)

 

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