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いじめられっ子に殺人鬼が取り憑き拷問復讐。不良グループがケバブと化す!-『アンデッド』

『アンデッド』

福澤徹三/2008年/222ページ

おまえの怨みを晴らしてやろう。かわりにおまえのからだを貸せ。それは、不死者からの恐怖の呼び声だった―。不知火高校で起こる凄惨な連続殺人事件。被害者は全員、同じ不良グループに属しており、殺される前に、奇妙な電話を受けていた。しわがれた男の声が告げる「…ニワメ、…ニワハ」の謎とは?異形のものが見える少女・神山美咲が真実に挑む!大藪春彦賞作家が、本当の恐怖を描く、書き下ろしホラー最新作。

(「BOOK」データベースより)

 

 不知火高校の生徒、伏見守は不良グループからいじめを受けていた。竜也、一輝、剛志、隼人の4人(ゲッターチームみたいな名前)は守を廃病院の地下室に閉じ込めてその場を去る。絶望のあまり自殺を考える守の耳元で、「死ぬのなら、軀を貸せ」という不気味な声が響いた――。

 数日後、一輝、剛志が壮絶な拷問を受けたのちに殺害される事件が起きる。霊感を持つ少女・神山美咲は、同じ文芸部の二宮翔太、秋月里奈とともに地元のホラー作家・鬼屋敷大造に取材中、「廃病院に出る連続殺人鬼」の幽霊の話を聞く。拷問や連続殺人鬼の手口に精通し、自らの‟正義”に反する人間を惨殺していったシリアルキラー・玄田道生。ここ最近、守のおかしな態度に気づいていた美咲は、守に玄田の霊が取り憑いたのではないかと考える。そうこうしているうちに竜也が、そして守のいじめを見て見ぬふりをしていた担任教師が殺された。不良グループでただ1人残った隼人はいじめには直接参加していなかったが、ターゲットにされる可能性は高い。美咲、鬼屋敷、隼人、実は隼人と付き合っていた里奈の4人は、玄田の痕跡を確かめるため件の廃病院へと向かう。

 

 「いじめられっ子に連続殺人鬼が取り憑いていじめっ子をブチ殺しました」という単純極まりない話なのだが、不良どもの拷問殺シーンが非常に猟奇的、かつ独創的でニッコリしてしまう。美咲の霊能力がほとんど役に立ってなかったり、15年以上前の小説とはいえなんだか描写が古かったりと気になる部分もあるが、拷問シーンだけでおつりが来るくらいである。

 『アンデッド』シリーズの第1作だが、オチも含めてこの巻だけで完結しているので手に取りやすいだろう。ちなみに「スキンヘッドのコワモテで怪談を集めているホラー作家」こと鬼屋敷のモデルは作者自身と思われる。

★★★(3.0)

 

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