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文通相手からの返信が日常を脅かす。解説文のネタバレは読まないことをオススメ-『文通』

『文通』

吉村達也/1994年/319ページ

16歳の女子高生片桐瑞穂は風変わりな雑誌を本屋で見つけた。『月刊ペンパル』――それは、文通マニアの専門誌だった。気まぐれに出した瑞穂の伝言に応じてきたのは4人の男女。だが、筆跡も住所も異なる彼らの手紙はどこか異常な匂いに満ちていた。やがて瑞穂は、この4人がじつは同一人物であるという衝撃の事実に気がついた! 文通をやめなければ! だが、顔のない異常者は、すでに瑞穂の自宅へと……。

(Amazon解説文より)

 

 評価の分かれそうな1冊。軽い気持ちで文通相手を募集した主人公。だがヤバい人がその中に混じっていて…というお話。読みやすさと先が気になる展開の巧さはさすがであり、後味の悪いラストも好みは分かれそうだが、個人的には非常にイヤな気分になれたのでお気に入り。ここで勧善懲悪スッキリ解決、という終わり方だと記憶からもきれいさっぱり消えてしまいそうだ。主人公の文通相手の文面を、筆跡もそのままに載せているのも面白い。今では廃れてしまった「文通」という文化だが、顔の見えない相手が異常者だったら…? という恐怖はSNS時代の今でも通用するものだろう。

 本書の大きな問題は上記の解説文(裏表紙に書かれているものと同じもの)で、中盤以降に明らかになるかなり重要なネタバレをかましてしまっている点。これを知っているかどうかで序盤の読み方もだいぶ変わってしまう。まだあなたが解説文を読んでいないのなら、読まないほうが新鮮に楽しめるはずだ(なのであえて読みにくくした)。ミステリとしては、上記のネタバレ部分につながる犯人のミスがいくらなんでも迂闊すぎるというのも気になる。そこはいちばん最初に偽装すべき点だろうに。いろいろと惜しい作品である。

★★★(3.0)

 

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