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強引極まりないデスゲーム。壮大なオチとゲーム内容との釣り合いが…-『放課後デッド×アライブ』

『放課後デッド×アライブ』

藤ダリオ/2012年/320ページ

「あなたたちはアセンションされました。これから、命をかけたゲームをやってもらいます」クラスで忘年会をしていた高校3年生の啓太たちは、突然不気味な仮面の人物によって体育館に監禁される。ここから出られるのはたった2人。男女でペアとなって様々なゲームを勝ち抜くしかない。負けた者を待つのはロスト=死。駆け引き、暗躍、裏切り…究極の心理戦が幕を開ける。緊迫のノンストップ・サバイバル・ホラー。

(「BOOK」データベースより)

 

 著者お得意のデスゲームもの。クラス内に閉じ込められた生徒たちが男女ペアになり、最後の生き残りをかけて生きたり死んだりする話。劇中に登場するゲームは「3つのドアからあたりの1つを選ぶくじ引き」、「剣で戦うグラディエートバトル」、「制限時間つき神経衰弱」、「棒つかみ」、「スタンガンで戦うバッテリー集めサバイバル」といった内容。この手のデスゲームは2012年の段階ですでに食傷気味であり、ゲームの内容を斬新なものにして興味を惹くとか、あるいは人物描写を濃密にして緊迫感を持たせるとかしないと厳しいと思うのだが、本作にはそういう尖った部分は特にない。今さらモンティ・ホール問題を持ち出されてもなあ。キャラの魅力も主人公含めて薄く、終盤に至っても誰が死んでもいいやという気分になってしまう。
 ラストではちゃんと黒幕の正体とその目的が明かされるのだが、すべてのデスゲーム作品に流用できそうな壮大かつ強引なオチである。いかに崇高な目的で、いかに緊急事態であろうとも面白半分でバンバン高校生殺してるだけにしか見えないので…。わざわざ教師を始末したり、スパイ役を生徒に潜り込ませる意味もわからない。

★★☆(2.5)

 

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