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各都道府県のご当地怪談、47編お取り寄せ。怖さとご当地性は玉石混交ながら充実の1冊-『全国怪談 オトリヨセ』

『全国怪談 オトリヨセ』

黒木あるじ/2014年/219ページ

北は北海道から、南は沖縄まで。日本全国の都道府県から蒐集した47のご当地怪談実話を収録。岩手の民宿、宮城の港町、群馬の史跡、山梨の樹海、愛知の橋、福井の沖合、滋賀の湖、京都のトンネル、鳥取の山中、島根の寺院、愛媛の霊場、熊本の丘陵地、鹿児島の浜辺―その土地でしか成立し得ない、ご当地で語り継がれる必然性を有した怪談を、白地図を塗り潰すように書き記す。産地直送でお届けする、恐怖のカタログ・ブック!

(「BOOK」データベースより)

 

 47都道府県、全国各地にまつわる怪談が47編収録されており、各話の末尾には内容にまつわるご当地メモが付記されている。かつてPS2で発売されていた同じコンセプトのゲーム『四十八(仮)』を思い出すが、本書の怪談は伝説のクソゲーとは異なり、どれもそれなりに面白く読める。
 続刊に比べると本書は名所にまつわる怪談が特に多く、青森なら恐山(「北国のUFO 青森県」)、山梨なら富士樹海(「樹海三題 山梨県」)、滋賀なら琵琶湖(「琵琶湖の怪 滋賀県」)…といったセレクトはややベタではあるが、興味深い内容でもある。中にはご当地との関連付けがやや強引なものもあり、例えば「ほんもの 富山県」のご当地メモ「お化け屋敷」はほとんど富山と関係ない。
 「駄洒落の罰 奈良県」「夜歩く男 千葉県」など面白い話は多いが、実話怪談集の中でも全体的な怖さは控えめなほう。どうしても民話調になってしまうためだろうか。「夢の中の男 岐阜県」「夜鳴く犬 茨城県」など、怖い話に限ってご当地とのつながりが薄目だったりする。

★★★(3.0)