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「フルコース」「女」「ホラー」の三題噺を微妙に持て余している短編集-『フルコースな女たち』

『フルコースな女たち』

新津きよみ/2015年/268ページ

小学校教師の水川には給食で食べられなくなった物がある。それはうずらの卵。その理由には、彼女の母親のある「奇行」にまつわる、強烈なストレスが関係していて…(「転落―食前酒」)。智恵子、敦子、真由子の三人は、ある男への復讐を意外な形で遂げようとしていた。彼女らの絶妙なバランスが織りなした、世にも恐ろしい完全犯罪の末路とは…(「男狩り―肉料理」)。男と女と食をテーマに、コース仕立てでお届けする絶品短篇集。

(「BOOK」データベースより)

 

 食前酒、前菜、メインディッシュ…とフルコースのメニューになぞらえた短編集なのだが、あまりに玉石混淆。「男と女」「料理」「ホラー」の三題噺を成立させるのでいっぱいいっぱいになってしまった感が…。「転落―食前酒」はオチにムリヤリ食前酒要素を入れたせいで恐怖感がブレてしまっているし、「水難の相―魚料理(メインディッシュその1)」「スイーツ・バイキングーデザート」もエピソードの水増しでテーマに寄せているフシがある。三題噺がしっくりハマった作品もあり、「散骨―スープ」はスープに故人の骨を溶かして飲むというキモチワルイ散骨方法が序盤で明かされ、そこからさらに一捻りさせた展開が見事。

★★☆(2.5)

 

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