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全部読めるといいですね。読んだ上で、おすすめしたい作品は全力で推します。

嘘をつかずにはいられない、業の深い人が続々登場!稀代のホラ吹き博覧会-『現代百物語 嘘実』

『現代百物語 嘘実(きょじつ)』

岩井志麻子/2010年/209ページ

さらりと驚くような都市伝説を語る女。芸能界との繋がりを自慢する主婦。人を殺しかけた体験を語る男。雑誌に殺人事件をタレこむ女。凄絶な不良少女と友達だと吹聴するお嬢様。過去をなかったものにする風俗嬢。だますつもりのない簡単なホラを吹く女…。人が嘘をつく背景には、どんな心の闇があるのか。著者の身の回りに実在する話を元に、現代人の虚実を暴き出す、書き下ろし百物語、大好評シリーズ第2弾。

(「BOOK」データベースより)

 

 作者が見聞きしたちょっとアレな人々について語る、業の深いシリーズ。今回は「嘘つき、ホラ吹き」な人々が出てくる話が多めになっている。作者の強烈な実体験…つまりはとんでもないウソつきとの邂逅があったらしく、細かい設定を変えてその人物のエピソードが何度も出てきているのだとか。その人物のエピソードかどうかはわからないが「整形する女の話」「履歴をごまかして就職する話」が何度も出てくるのでまたかと思うこともあるが、全体的にはやはり全99話、どれもニヤニヤしながら読める傑作揃いだ。「第九話 吹聴」「第四十九話 ご都合主義すぎる出会い」「第六十七話 顔写真と違うタクシー運転手」などは怖いと同時に面白く、酒の席の持ちネタにしたいくらい。

 いわゆる実話怪談っぽい話もいくつかはあり、「第十一話 親友を大事にする女」「第八十九話 雑木林の首吊り死体」辺りはその雰囲気が色濃い快作。シリーズ2作目にして早くも「自分には霊感が無い」という、作者の主張がなんだか怪しいことになっているのも面白い。「第五十一話 霊感の証明」「第六十三話 ソウル市内にある銭湯」などを読む限りは特に、である。

★★★☆(3.5)