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予言者、洗脳者、念動力者襲来! 苦悩の旅はサイキックバトルと化す-『NIGHT HEAD/邂逅』

『NIGHT HEAD/邂逅』

飯田譲治/2000年/510ページ

サイコキネシス能力を持つ兄・直人とリーディング能力を備えた弟・直也は、隔離されていた超能力研究所から外の世界へと脱出した。しかし、彼らは運命の歯車の中に放り出されてしまったのだ。平成のノストラダムスと呼ばれる神谷司は人類の滅亡に霧原兄弟がかかわると予言した。同じ頃、直也も人類滅亡のビジョンを見てしまう。その人類存亡のかぎを握る、“倉橋加奈子”を訪ね、二人はライブ製薬東京研究所にのりこむが…。サイキック・ホラーの金字塔「NIGHT HEAD」ホラー文庫版第二弾。

(「BOOK」データベースより)

 

 平成のノストラダムスと呼ばれる予知能力者・神谷司は、製薬会社に勤める倉橋加奈子という研究員が、人類に滅亡をもたらすウィルスを開発する未来を見る。さらに、神谷は滅亡にまつわる「黒い流れ」に、直人と直也の兄弟が深く関わるとも予言。神谷の熱狂的な信者たちは倉橋を、そして直人・直也を亡き者にせんと暴走を開始。神谷から予言について聞かされた直人と直也は倉橋を説得しようとするが、神谷の信者のみならず、強烈な悪意を持った超能力者・曽根崎が彼らを襲撃する。(第三部)

 御厨の超能力研究所が何者かの手によって壊滅。現場へ向かった直人と直也は御厨を救出、襲撃してきた超能力者を返り討ちにする。御厨との別れ。肉体を捨てた超能力者・翔子との邂逅。直人と直也の両親との再会。強烈なマインドコントロール能力を持つ曽根崎との対決。超能力者たちの組織「アーク」の出現。兄弟とコンタクトを取ろうとするアークの反逆者・双海。物語は大きく動き始め、直人の直也も新たな力に目覚めていく。双海が遺した「ミサキデマツ」のメッセージが意味するものは何か…。(第四部)。

 

 テレビドラマ版のラストまでのストーリーが収録されている(次巻は映画版と外伝)。相変わらずのリーダビリティの高さでスイスイ読めてしまう。人間の悪意をこれでもかと暴き出す作者の容赦のなさも相変わらずで、名誉欲と人間味の間で揺れ動く倉橋加奈子の心情の描き方などは感心する。兄弟もしっかり成長しているため前巻ほどの悲壮さは薄く、わりと分かりやすいサイキック・ウォーズの雰囲気になってきた。話のスケールはどんどんデカくなっているのだが、どういう結末を迎えるのか普通に気になる。

★★★☆(3.5)

 

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