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全部読めるといいですね。読んだ上で、おすすめしたい作品は全力で推します。

進化した人類(寄生獣+スパイダーマン)の異形アクションバトル、完結-『心臓狩り ③異形の領域』

『心臓狩り ③異形の領域』

梅原克文/2011年/281ページ

雅之と同じく、移植によって“シャーマン”となった秀人は、人間の心臓からその記憶や特技を吸収するという禁忌の行為を繰り返す存在―“羅刹”と化し、さらなる力を得ようと、同じ一族の舞や玲子に襲いかかる。雅之は大切な舞のため、自分も羅刹となることを決意。秀人の行方を追うが、秀人の体には、さらに大きな恐ろしい変化が隠されていた…!雅之は愛する女性を守り抜き、真の“ヒーロー”となれるのか!?堂々の完結巻。

(「BOOK」データベースより)

 

 ほぼ全編、バトルのみで進行する最終巻。主人公の雅之たち「シャーマン」は、手首から伸びる「腱」を刀にしたり、触手のように伸ばしたり、他人に突き刺して記憶を入手することができるという能力者。身もふたもないことを言えば『寄生獣』+『スパイダーマン』みたいなダークヒーローものだが、要所の医学的な小ネタのおかげでリアリティある設定になっている。ワイヤーアクションや相手にアクセスして情報入手&パワーアップしていく様などはオープンワールド系のアクションゲームみたいな雰囲気。

 血液を介して人の記憶を奪う心臓狩り――人間ならざる異形の“ヌエ”と化した宿敵・秀人との対決がメインだが、この秀人がまあまあ情けないのであまり強敵感がない。微に入り細を穿つ描写のおかげで、腱を自在に振るっての立体的アクションも実に映像的に展開されるが、物語としての密度はやや薄め。

 全巻通して、奇想天外なギミックと設定、アクション描写にはわくわくさせられる部分もあったものの、主人公含む各キャラクターの行動が「典型的なヒーローもの」過ぎて少々物足りない部分もあった。3巻分冊ではなく、1冊に圧縮されていたらまた印象は異なったかもしれない。

★★★(3.0)