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「天狗の祟り」祓いが予想外の方向へ! オカルト全部盛りの好シリーズ-『祟られ屋・黒染十字 京の都に天狗は踊る』

『祟られ屋・黒染十字 京の都に天狗は踊る』

敷島シキ/2021年/288ページ

京都を覆う天狗の祟りを祓え! 傷を抱えたバディの謎解きホラーミステリ

「祓って流そう――祟りも、想いも」

元バチカン最強の祓魔師・黒染と、お人好しカウンセラーの白崎が営む「祟られ屋」へ、
「天狗の祟り」に悩んでいるという京都の男性から相談が舞い込んだ。
トラウマを抱え、京都から逃げるように上京してきた白崎は気が進まないが、
何故か「天狗」と聞いた瞬間乗り気になった黒染の熱意に負け、一緒に出張することに。

京都へ到着し、依頼人の犬塚に話を聞くと「奇妙な声と共に黒い影が部屋を走り回る」という。
全く天狗らしくない呪いに、白崎は困惑するが……?

傷を抱えた凸凹コンビが絡み合った祟りと謎を解きほぐす、痛快ホラーミステリ!

(Amazon解説文より)

 

 前巻の事件がきっかけで、黒染の相棒として「祟られ屋」でも働くことになった白崎。バチカン神父のダンテからの依頼で、京都に住む男性・犬塚の「天狗の祟り」を調査することになった2人は、派手な出で立ちの陰陽師・一条院清明と遭遇。犬塚が祟られた原因に一条院が噛んでいると推察する黒染だが、祟りの正体を見破ることができない。京都に伝説を残す天狗。暗躍する一条院。白崎が京都を去った理由でもあるかつての同級生・紫藤。そして増え続ける犠牲者。すべてを一本の線、いや‟十字”に結び付ける祟りの真実とは…。

 

 祟り・呪いのメジャーである「こっくりさん」から物語は始まり、一般的な天狗のイメージとは程遠い「天狗らしき何か」の影が祟られ屋を翻弄する。謎の陰陽師に加えて白崎のトラウマに関する問題も解決、黒染の過去にもまつわるであろう「真の敵」も登場、さらに京都の観光・歴史ウンチクをも詰め込んだという大変にエンターテインメントしている1冊。気楽さとホラー要素、先の読めない展開と王道の展開をそれぞれ両立させつつ、綺麗なエンディングと見せかけてのダメ押しも盛り込むサービス精神には恐れ入るばかり。奇人ぶりを発揮しつつも意外なまともさを見せる黒染も頼もしい好キャラになった。続刊が出ていないのが惜しまれるシリーズ。

★★★★(4.0)

 

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