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ナチスに吸精鬼、美青年を毒牙にかける美青年…未完だが出し惜しみ無しの濃いシリーズ-『イヴルズ・ゲート 黒き堕天使の城』

『イヴルズ・ゲート 黒き堕天使の城』

篠田真由美/2016年/320ページ

考古学者のルカが姿を消した。ナチス・ドイツの研究機関アーネンエルベで、養父の父親の同僚だった男に招かれ、南ドイツの古城に出かけたという。ルカが勤めるトリノのエジプト博物館から助けを求められた夜刀は、単身城に乗りこむ。彼を迎えたのは人形のように生気がないルカと、おぞましい秘密を持つ住人たちだった…性格も見た目も正反対の“腐れ縁コンビ”が再びタッグを組む!多彩な館と謎ときが魅力のミステリ・ホラー。

(「BOOK」データベースより)

 

 ベルンハルト・フォン・ヴァイゼッカー男爵なる人物に招かれ、南ドイツのを訪れたルカ・ローゼンスタイン博士が姿を消した。ルカの秘書・ミリアムから要請を受けた御子柴夜刀は、ベルンハルト男爵の邸宅・クリスタルベルク城を訪れる。ルカの養父、エーリッヒの実父であるオットー・ローゼンスタインはベルンハルト男爵と同じく、元はナチスの研究機関に属していたという。だが夜刀の前に現れた男爵は、どう見ても100歳近い老人には見えない…。夜刀は男爵を名乗る人物は別人であり、息子のアルフレートこそがベルンハルトの血を引くのではないかと推察する。

 男爵の目的はオットーが遺した「ノート」だった。果たしてノートには何が描かれているのか。姿を現さない男爵の父親、男爵とアルフレートに苛まされる少女・アデルハイトに隠された秘密とは。そしてルカが追い求める、イヴルズ・ゲートの真実とは…。

 

 シリーズ2作目だが前作との関りは薄く、舞台も雰囲気もだいぶ異なる。設定の詰め込みっぷりは前作以上で、表紙で巫女装束を披露し、夜刀以上に目立っている夜刀の妹・瑠衣の活躍(?)っぷりはかなり唐突だし、クリスタルベルク城の使用人たちの顛末だのがほったらかされているのも気になる。黒幕の正体は相手を犯し、精気を吸いとることで若さを得るというなんだかスゴい相手。こいつが美青年のルカを拷問し、濃厚な絡みと執着を見せるシーンが山場と言えば山場である。シリーズはこの巻で終わるが、世界設定自体は魅力的で情報量も多く、繰り返しになるが「濃い」内容であった。

★★★(3.0)

 

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