角川ホラー文庫全部読む

全部読めるといいですね。おすすめ作品等はリストから

ドラマ版では気にならないツッコミどころが目立ってしまうノベライズ-『世にも奇妙な物語 小説の特別編 再生』

『世にも奇妙な物語 小説の特別編 再生』

大野敏哉、高山直也、中村樹基、鈴木勝秀、落合正幸/2001年/282ページ

「友達登録」携帯電話に届いた不思議なメールに従い友達登録をした小百合。友達が沢山できはじめたのだが…。「株式男」一攫千金を夢見て株に興味を持ち始めた高桑喜一郎。彼が見つけた自分と同じ名前の株とは!?「太平洋は燃えているか?」第二次世界大戦中、姿を消した爆撃機『雷神』。突然、現代に姿を現してしまい…。「心臓の想い出」心臓移植の手術を受けた緑。手術は成功したが、以前にはない感覚が襲い始めた。―悪夢の世界より再び四つの奇妙な物語が生まれる。

(「BOOK」データベースより)

 

 「'01 春の特別編」で放映された4編のノベライズ。プロローグとエピローグが導入され、ストーリーテラー(タモリ)の出番も生まれた。

 

 「友達登録」-親友を作れないまま大学生になってしまった西嶋小百合のもとに、友達登録なるサービスからメールが届く。自分が希望する友達の情報を登録すれば、その通りの友達が現れるのだという。「明るい友達」「趣味が合う友達」を登録してみるも、いまいちピンと来なかった小百合はとにかくたくさんの友達を一気に作り、ようやく孤独から解放される。次第に増えすぎた友達が煩わしくなってきた小百合はリストから気の合わない友達を削除するが、リストから消えた友達の存在そのものが消滅することに気づいてしまう…。オリジナル脚本の『世にも』にはよくある、奇妙なシチュエーションを作るだけ作って整合性やリアリティをほったらかしにした話。

 「株式男」-冴えないサラリーマンの高桑喜一郎は、自分と同じ名前のタカクワキイチロウという銘柄の株があることを知る。名前の通り、この株は高桑が善行を積んだり仕事で活躍したりすると値が上がっていくのだった。自分の株値が上がると給料をはるかに上回る配当金も入ることを知った高桑は見違えるように真剣に働き始め、タカクワキイチロウ株はうなぎ上りに。ついには会長から娘と結婚してほしいと頼まれ、有頂天になって飲み明かす高桑。だが彼が結婚することを聞いたバーのママがタカクワ株を買いあさったことがインサイダー取引としてみなされてしまい、タカクワ株は暴落する…。株を上げる行動をすると実際に株が上がる、という話自体はわりとよくあるネタ。曽根圭介の「暴落」もそんな内容だったが本作のほうが早い。一発ネタでしかない話だがオチも含めて綺麗にまとまっている。

 「太平洋は燃えているか?」-幻の超遠距離重爆撃機「雷神」。1945年、敵国首都にコバルト爆弾を落とすため飛びたったまま、姿を消していた「雷神」が2001年の現代に突如現れた。自らがタイムスリップしたことなど知りようもない雷神の乗組員は、ホワイトハウスに向けて飛び続ける。しかも雷神は特異点にあるため、撃墜するとブラックホールと化してしまうのだ(なんだそりゃ)。こうなったら説得して爆撃を止めさせるしかない! 日本政府は雷神の通信兵の孫を探し出して、爆撃を思いとどまらせるよう説得させるのだが…。これも多少ムリヤリ感があるものの、シチュエーション自体はなかなか面白い。皮肉の効いたバッドエンドも良き。

 「心臓の想い出」-心臓を移植したら、記憶も移植されていたという話。以上です。

 

 相変わらず玉石混淆であり、玉のほうも磨き方が甘いためどうも手放しで褒めにくい。映像で見ると気になりにくい、細かいリアリティへの不満が如実に表れてしまう。ノベライズとしてはあまりよろしくないのでは。

★★☆(2.5)

 

www.amazon.co.jp