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やつらが地球に降り立った…!! 映画とは異なるオリジナル展開の秀作-『エイリアン 地球殲滅』

『エイリアン 地球殲滅』

スティーブ・ペリー/1995年/302ページ

「エイリアン」は極秘裏に、兵器開発会社によって史上最強の生物兵器を創ろうと、地球に持ち込まれていた。一方、国家軍隊はエイリアン捕獲のために、宇宙船を派遣する。派遣された男はその恐怖を知り尽くしていた。エイリアンの巣窟である惑星で、国家と兵器産業の末曾有の戦いがはじまる。しかし、そのころ、地球上で完全にコントロールされているはずのその生物は、恐るべき生命力により進化しようとしていた…。SFホラーの金字塔「エイリアン」オリジナル・ストーリー。

(「BOOK」データベースより)

 

 地球軌道上の遺棄された宇宙船に潜んでいたエイリアンが、沿岸警備隊を殺害する。地球防衛軍は残されたデータから未知の危険生物・エイリアンのが棲む惑星の場所を分析。かつてエイリアンの襲撃で壊滅した惑星リムから生還した宇宙海兵隊員・ウィルクスを派遣し、脅威を元から断とうとする。ウィルクスは部下の海兵隊員たちのほか、かつて惑星リムから救出した少女・ビリーを精神病院から連れ出し、同行させる。

 その頃、地球ではエイリアンを生物兵器として利用しようとするとある企業が、歴戦の傭兵・マッシーを送り出し、ウィルクスたちの宇宙船の後をつけさせていた。さらに、エイリアンを神と信仰するカルト宗教「けがれなき企ての教会」が、兵器企業に保管されていたエイリアンの女王を解放するためテロ活動を開始する。人間たちの醜い私利私欲によって、地球は真の危機にさらされようとしていた…。

 

 映画『エイリアン』の続編として描かれたコミックを基にした小説。ウィルクスとビリーはもともとヒックスとニュートの予定だったが、『エイリアン3』との整合性を取るため別のキャラクターになったらしい。終盤に登場するゾウ型の宇宙人は映画にも出てきた「スペースジョッキー」。作中に登場する兵器会社はウェイランド・ユタニ社だろう。

 派手なビジュアルを想起させるアクションあり、もちろんエイリアン大暴れのバイオレンスあり、ビリーと海兵隊員ミッチのロマンスありと、ツボを押さえた構成である。タイトル通り、エイリアンが地球を殲滅する終盤の展開もなかなか絶望感があって良い。『エイリアン』好きなら読んで損は無い1冊である。海外では続刊が2冊出ているらしいのだが、残念ながらそちらは邦訳されていない。

★★★★(4.0)

 

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