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深く立ち込めた霧を晴らす家族愛。王道かつ理想的な大団円!-『キリノセカイ Ⅲ.目醒のウタ』

『キリノセカイ Ⅲ.目醒のウタ』

湖山真(原作:平沼正樹)/2013年/372ページ

仙堂、間山たちの調査が功を奏し、ようやく霧の正体が明らかになりはじめる。なんと長年東京を覆い続けるこの霧は、ある目的のための準備段階に過ぎなかったのだ!計画の中心人物であるゼロは、最終段階へ向けて都内地下に隠された巨大兵器を動かそうとしていた。そしてそれは、4年前の大惨事を再現することだったのだ―仙堂と切り札であるミアは未来への道を拓けるのか!?話題騒然のオーディオシマネ小説化、完結!

(「BOOK」データベースより)

 

 フェイはテロ組織・アルテアの新たな指導者となった。仙堂、都倉の後輩である元ハッカーの間山、警視庁サイバーテロ対策課のマイは電磁兵器グリッドの存在を突き止め、東京を覆う東京を包む霧がグリッドを覆い隠すためのものであること、国府がグリッドによる再度の飛行機事故を計画していることを突き詰める。国府=ゼロが立ち上げた新組織‟ネオ”の台頭、警察内部にいた内通者、姿を消した都倉の行方。そしてナノセルの効果を打ち消すというキザクキョウの在処とは? そしてミアに隠されていた最後の秘密が明らかになる!

 

 景気よくキャラがポンポン死んでいき、爆発もアクションも大盛りのクライマックス。わざわざ霧を何年間も発生させていたのってそのためなの!? というのはちょっと納得いかないが、登場キャラクターほぼすべてに活躍の場を用意してくれた理想的な最終巻と言えるだろう。ベタではあるものの、読者が期待していたものはすべて出してくれる。全巻最後まで付き合うだけの価値はある大団円である。悪役も含めたすべての登場人物の根底にあるのは「家族愛」であり、こうまでド直球にこういうテーマをお出しされると照れくさいほどだが、そのストレートさが胸を打つ。1巻の時も書いたが、本作をきっかけにしてオーディオドラマの方へ進むのもアリかもしれない。

★★★☆(3.5)

 

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