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連続殺人をワインで強引解決! ソムリエ向け(?)非ホラーミステリ-『悪魔のワイン』

『悪魔のワイン』

和田はつ子/2006年/215ページ

第一の殺人現場には、血痕がついたブドウ畑の絵葉書が遺されていた。第二の殺人は、毒入りワインによるものだった。そして第三の殺人では、被害者の頭部が切断され、ワインで煮込まれていた。次々に起きる連続殺人の鍵を握るのは、かつては薬酒だったといわれるワインなのか―。文化人類学者である日下部遼が、猟奇殺人の謎に迫る。戦慄のホラー・サスペンス。

(「BOOK」データベースより)

 

 文化人類学者・日下部遼が主人公となるシリーズの一本。この作者のシリーズものは副題などが付かないことが多く、どの作品がどのシリーズなのか把握しづらい。ただ主人公が共通する点を除けば他作品とのつながりは薄いため、どれをどこから読んでも特に問題は無いと思う。
 ブドウの絵葉書が残された現場で殺害されたスナック経営者の夫婦。毒入りワインで毒殺された政治家と外務官僚。切断された頭部がワインで煮込まれた姿で見つかった会社員。ワイン瓶の横で麻薬のオーバードーズで死んだ外国人労働者。ブドウの丘で墜落死した看護師。“グルメランチとワインの会”の会食中に死亡した病院の院長。一見、まったく繋がりが無いような人々の死が「ワイン」というキーワードで結び付けられる。この奇妙な一連の事件の真相は――というお話。事件の主要ヒントがすべて主人公の身の回りで明らかになってしまう展開がどうにも不自然で、数々のワインうんちくと美食描写を除けば凡庸な一作としか言いようがない。ホラー要素もほぼ皆無。解説がなぜか大槻義彦教授で、ものすごく強引に火の玉の話をブっ込んでいる。

★★(2.0)

 

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