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飲んで騒いで恋をして、その傍らで霊を視て。ある意味理想の大学生活-『ホーンテッド・キャンパス 幽霊たちとチョコレート』

『ホーンテッド・キャンパス 幽霊たちとチョコレート』

櫛木理宇/2013年/310ページ

幽霊が「視えてしまう」草食系大学生の八神森司。怖がりな彼がオカルト研究会に属しているのは、ひとえに片想いの美少女こよみのため。霊にとりつかれやすい彼女を見守るのが、彼の生き甲斐だ。そんなある日、映研のメンバーが、カメラに映りこんだ「後ろ姿の女の霊」の相談に訪れた。しかもそのカメラでこよみを隠し撮りされ…!?本当に怖いのは、人かそれとも幽霊か?期待の新鋭が放つ大人気オカルトミステリ第2弾。

(「BOOK」データベースより)

 

 大学のオカルト研究会に持ち込まれる霊的なお悩み相談を、霊感があったりなかったりする部員たちが解決していくミステリ連作集第2弾。映画研究会のカメラ映像に写り込む、見知らぬ女の姿。 2人の男子生徒の元に現れた、2年前に失踪した女性の幽霊が伝えたい真実とは。幽霊が出ると評判の居酒屋で出会った、冴えない陰キャの幽霊。自分の姿が鏡のに写らなくなってしまった男は、自分を殺そうとする悪夢の中の幻影に悩まされ…。夫を「日本人形」に横恋慕されてしまった夫婦が迎えた残酷な結末とは。

 本シリーズはキャラクターノベルにありがちなヌルさが無く、怪異がしっかり怪異として描かれているのが好印象。その一方でサークルものというかキャンパスものというか、友情と愛情がヌルリと入り混じるあの雰囲気も濃厚に漂っていて非常に良い。この巻はクリスマスに正月、バレンタインデーとイベント盛りだくさんの時期が舞台なのでなおさら。第三話などはアパートや居酒屋で学生どもが酒を飲んだくれているだけの話なのに、なんでこんなに面白いのだろうか。バレンタインデーの顛末を描くエピローグもニヤニヤもの。

★★★★(4.0)

 

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