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生きてても死んでても人は怖い。超自然と現実のガチンコ厭バトル、完結-『忌談 終』

『忌談 終(つい)』

福澤徹三/2015年/208ページ

疎遠だった祖父の葬式に出席した大学生の身体に生じた異変とは(「血縁」)。キャバクラに居た不思議な力を持つ女のその後(「霊感のある女」)。キャンプ場の木に吊るされていた奇妙なロープ(「縊死体のポケット」)。神社や寺に近付くと体調を崩す女性が、交際相手から初詣に誘われて……(「奇縁」)。死者も怖いが、生きている人はもっと怖ろしい、怪異繚乱の全35話。最後まで最悪の読み心地、忌談シリーズ最終巻!

(「BOOK」データベースより)

 

 超自然要素の有無を問わず、とにかく厭な話を集め続けた「忌談」もついに最終巻。このシリーズは犯罪関連の話がとにかく怖く、今回もソレ系の「ハンドキャリー」が一際強烈。脳姦は反則。社会の闇を感じさせる話では長期的過ぎる美人局「ヒトカラの女」、胃ろう患者ビジネスを描く「静かなアパート」も怖い。生々しいゴキブリの生態「茶色い絨毯」も冒頭のラーメン店のスープの話が厭すぎる。

 正統派の怪談も粒ぞろいで、霊感があると称して受けを取っていたキャバクラ嬢の末路「霊感のある女」、正体の分からなさが最後まで不安を煽る「古井戸」などいつにも増して印象深い話が多い。全5巻、クオリティ高めのシリーズで大変よかった。

★★★★(4.0)

 

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