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殺害手段は大量の硬貨! 猟奇殺人者「リッチマン」を追え-『LEAK 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』

『LEAK 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』

内藤了/2016年/408ページ

正月の秋葉原で見つかった不可思議な死体。不自然に重たいその体内には、大量の小銭や紙幣が詰め込まれていた。連続して同様の死体が発見されるが、被害者の共通点は見つからない。藤堂比奈子ら「猟奇犯罪捜査班」の面々は、警視庁の合同捜査本部でその「リッチマン殺人事件」に取り組むことに。そこに比奈子宛の怪しい電話が入り…。現代社会の闇が猟奇的殺人と共鳴する、新しいタイプのヒロインが大活躍の警察小説、第4弾。

(「BOOK」データベースより)

 

 しれっと新キャラの刑事が多数登場しているので戸惑ったが、まあ今後のシリーズで彼らにもスポットが当たっていくのであろう。今回の真犯人は“リッチマン”。被害者を身動きできないようにした状態で、口から大量の硬貨を注ぎ込んで内臓破裂・窒息死させ、遺体の口に札束を詰め込むという前代未聞の連続殺人犯である。比奈子はリッチマンを名乗る本人から電話を受け、見つかっていない死体の場所や次の事件現場などの情報をLEAKされるのだが…。果たしてその目的は?

 今作からちょっと雰囲気が変わったのは、比奈子の持つ超記憶力の描写は今回かなり出番が控えめになっている点。彼女があくまで「普通の良心と感性」を持った人物であり、その「普通さ」こそが事件を解くカギにつながるという点が強調されているように感じた。いろいろな偶然が彼女の元に集まってしまう主人公体質には目をつぶるとして、事件そのものの異常性、相変わらずの過去キャラの使い方のうまさなど見どころは多く、シリーズの中でも特に面白く読めた。

★★★★(4.0)

 

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