『CUT 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』
内藤了/2015年/400ページ
廃屋で見つかった5人の女性の死体。そのどれもが身体の一部を切り取られ、激しく損壊していた。被害者の身元を調べた八王子西署の藤堂比奈子は、彼女たちが若くて色白でストーカーに悩んでいたことを突き止める。犯人は変質的なつきまとい男か?そんな時、比奈子にストーカー被害を相談していた女性が連れ去られた。行方を追う比奈子の前に現れた意外な犯人と衝撃の動機とは!?新しいタイプの警察小説、第2弾!
(「BOOK」データベースより)
分かりやすくも個性的なキャラクターと、猟奇的なスプラッタ描写で一気に読ませるエンタメミステリの第2弾。今回の真犯人は“コレクター”。女性の美しい肉体をパーツごとにCUTして蒐集するという連続猟奇殺人鬼、その正体は何者なのか?
「遺体に着せられていたドレス」から犯人の実像と手がかりを追う展開がなかなか面白く、ページをめくる手が止まらない構成はお見事。真犯人の動機と掘り下げがイマイチ甘いというか陳腐で、作中でせっかく事細かにプロファイリングされていた内容としっくり来なかったり、主人公が銃も持たずに単身犯人の元へ乗り込んで案の定とっつかまったりとラスト付近は少々不満が残るが、いい感じにキャラの掘り下げはなされており、今後のシリーズ作にも期待できる内容。
★★★☆(3.5)