『十の恐怖』
常盤朱美、森真沙子、井上雅彦、五代ゆう、篠田真由美、飯野文彦、斎藤肇、小林泰三、朝松健、竹河聖、赤川次郎/2002年/265ページ
十、それは恐怖の境界値。
十代最後の日、可愛いドレスを着た少女が友也を迎えに来る--赤川次郎「十代最後の日」他。『十』にまつわる十一の恐怖の扉。その扉の向こうで、あなたを待ち受けるモノとは…。豪華作家陣によるホラーアンソロジー
(Amazon紹介文より)
タイトルに「十」が入ったホラーが十一編収められている(そこは十篇でよかったのでは)。必ずしも「十」がテーマというわけではなく、人名やら地名に十が付いているだけという作品もある。「十、それは恐怖の境界値」というまったく意味不明の惹句が良い。個々の作品はそれなりに面白いが、もうちょいコンセプトをはっきりさせてもよかった気がする。
オリジナルアンソロジーゆえかなり玉石混淆だが、個人的に以下の4つがお気に入り。森真沙子「あと十分」―演劇の本番十分前、緊張がつのる中で主人公が遭遇した怪異。十という数字自体を深堀りしていたのはこの話だけだった。篠田真由美「十人目の切り裂きジャック」―都市伝説にも近い怪人、切り裂きジャックの正体と思われる人物を、1人ずつ検証していく友人。最後の十人目の切り裂きジャックとは? 斎藤肇「十年目の決断」―ある日突然、1人の子供が2人に増えてしまう事例があちこちで発生。双子のようにそっくりで、見た目だけでなく医学的にも完全に同じなのだが、十年後に惨劇が起きるという。愛娘が2人になってしまった男が下した決断は…。小林泰三「十番星」―厭味な同級生が、太陽系に十番目の星を発見したという。地球よりはるかに文明が進歩しているらしい十番星人の思惑とは。
★★★(3.0)